オフィスリフォームは必要?働き方の変化に合わせた空間見直しの考え方

 
     
  • 公開日:2026/09/26
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  • 最終更新日:2026/09/26
オフィスリフォームは必要?働き方の変化に合わせた空間見直しの考え方

テレワークやハイブリッド勤務が当たり前になり、これまでのオフィスでは社員の働き方に合わなくなってきたと感じている経営者や施設管理の責任者は少なくありません。机を並べるだけの空間では、出社する意味そのものが問われる時代に入っています。

本記事では、働き方の変化に合わせてオフィスをリフォームする際の考え方や、空間を見直すことで得られる効果について、決裁を担う立場の方に向けて整理してお伝えします。

この記事でわかること

① オフィスリフォームが注目されている背景と必要性

出社率の低下や働き方の多様化がもたらす空間課題を解説します。

② 空間改善によって得られる生産性・採用力向上などの効果

業務効率やコミュニケーション、定着率への波及効果を紹介します。

③ オフィスリフォームを成功に導くための進め方とポイント

目的の明確化から段階的な進め方までのステップを整理します。

④ 投資判断に役立つ費用相場や工期の目安

内装リフォームと建築設計から関わる場合、それぞれの目安を解説します。

なぜ今オフィスリフォームが求められているのか

働く場所の選択肢が広がったことで、オフィスに求められる役割そのものが変わりつつあります。出社して机に向かうだけの場所では、社員が集まる理由を見出しにくくなっています。

出社率の低下が引き起こす空間の余り

近年は、出社頻度の変化をきっかけにオフィスレイアウトを見直す企業も増えています。固定席を全員分用意する前提が変わり、空席の多いフロア運用を課題に感じるケースも少なくありません。

使われない机や会議室を残したままでは、賃料に対する効果が下がっていきます。空間の余りをどう活かすかが、現代のオフィス見直しにおける最初の問いになります。

働き方の多様化に追いつかない既存の間取り

集中作業、オンライン会議、対面のディスカッション、休憩。一日のなかで社員が求める場面は多岐にわたります。一律のレイアウトでは、これらをすべて受け止めきれません。

特にウェブ会議の声が周囲に響くといった日常的なストレスは、生産性の低下に直結します。働き方の幅に合わせて、用途別にゾーンを分ける発想が欠かせなくなってきました。

採用市場でのオフィスの見られ方の変化

求職者がオフィスの写真を比較検討する場面も珍しくなくなりました。働く環境が古びていれば、それだけで応募の意欲を下げてしまう恐れがあります。

逆に、働きやすさが伝わる空間は会社の姿勢を映し出す名刺代わりにもなります。採用競争のなかで、リフォームは攻めの一手として位置づけられるようになりました。

オフィス内装デザイン
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採用力や企業評価を高めるために不可欠な、機能性と美観を両立させる「本質的に良いデザイン」の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 本当の意味で「良い建築デザイン」とは何か?必要な要素や業者の選び方を解説

オフィスリフォームで得られる主な効果

リフォームの効果は内装の見栄えだけにとどまりません。業務の流れや人間関係、企業の文化にまで影響が及びます。

クリニックデザイン

業務効率と集中度の向上

動線の見直しや通信環境の整備によって、日々の小さな手間が減ります。電源やモニターの配置を整えるだけでも、作業の中断回数は大きく変わってきます。

「ちょっとした不便」を取り除くことが、社員一人ひとりの集中度を底上げする近道です。大がかりな設備投資をしなくても、配置の工夫だけで成果が出る場面は多くあります。

コミュニケーションの活性化

オープンなレイアウトや、立ち話のしやすいカウンターを設けることで、部署をまたいだ会話が生まれやすくなります。雑談のなかから新しい発想が育つ場面は、リモート環境では作りにくいものです。

以下の表は、空間の工夫とコミュニケーションへの効果をまとめたものです。

空間の工夫がコミュニケーションに与える効果
工夫 期待される効果 主な利用場面
共有スペースの設置 偶発的な会話の増加 休憩や情報交換
オープンな会議席 意思決定の早さ 少人数の打ち合わせ
集中ブースの併設 業務との切り替え ウェブ会議や個人作業

従業員満足度と定着率への影響

リフォームの計画段階で社員の意見を取り入れると、「自分たちの職場」という気持ちが芽生えます。声が反映されたオフィスは、働く側にとっても居心地のよい場所になりやすいものです。

結果として離職率が下がり、人材の定着につながります。新しい社員を採用するコストを考えれば、満足度を高める投資は経営の観点からも合理的だといえます。

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社員のモチベーションや満足度を高め、企業ブランディングにもつながる内装づくりのコツについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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従業員満足度と定着率への影響

リフォームの計画段階で社員の意見を取り入れると、「自分たちの職場」という気持ちが芽生えます。声が反映されたオフィスは、働く側にとっても居心地のよい場所になりやすいものです。

結果として離職率が下がり、人材の定着につながります。新しい社員を採用するコストを考えれば、満足度を高める投資は経営の観点からも合理的だといえます。

事例紹介:素材と光が誇りを醸成する仕事場(Wood Wool Workful)

株式会社丸尾建築 西宮支店の事例を用いて、働く環境のデザインが社員の意識や定着率にどう作用するか、実際の空間への落とし込みについて詳しく見ていきましょう。

オフィスデザイン
■ プロジェクトの要点
  • コンセプト:「Wood Wool Workful」。顧客対応を行わないバックオフィスでありながら、「働く場のデザイン」が働く人の誇りやステイタスに与える影響を重要視。人材獲得や定着を見据えた意匠性の高いオフィスを構築。
  • レイアウトと機能性:木毛セメント板で仕上げた大型什器内部に大容量の収納スペースを内蔵。膨大な業務資料やサンプル類をすっきりと隠し、ノイズの少ない執務空間を維持。
  • 照明計画:天井の格子状開口部にオリジナル製作の光幕(光天井)を組み込み、空全体が発光しているような均質で柔らかな光環境を創出。集中を妨げない視覚的な快適性を実現。
  • ブランド形成:徹底した質感の統一とストイックな装飾の抑制により、完成度の高い空間体験を創出。「ここで働く価値」そのものをデザインし、採用力(リクルート)と社員の定着率向上へ貢献。
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) 什器と融合させた大容量収納によってデスク周りのノイズを徹底的に排除し、業務に必要な実務量を担保しつつ極めて高い集中環境を両立。
強(構造・耐久性) 建築用の木毛セメント板を天井・壁・什器へと多角的に用い、コストを抑えながらも均一で力強い素材感を持った空間構造を確立。
美(美観) 色と質感を削ぎ落とした静けさと、オリジナル光幕による均質な光が調和し、働く人の意識と品格を引き立てるストイックな美観を実現。

リフォームを成功に導くための考え方

空間を変えるだけでは、思い描いた効果は得られません。目的の整理と社内の合意形成が、計画の質を大きく左右します。

目的を明確にしてから動き出す

「なぜリフォームが必要なのか」「どんな働き方を実現したいのか」を、最初に言葉にしておくことが大切です。目的があいまいなまま施工会社へ相談すると、後から判断がぶれてしまいます。

経営戦略のひとつとしてオフィスリフォームを位置づける視点が、計画の軸になります。事業の方向性とつながった空間づくりが、長く使えるオフィスを生みます。

社員の声を設計に落とし込む

現場で働く人の声には、図面だけでは見えない課題が含まれています。アンケートやヒアリングを通じて、日々のストレスや希望を集めておきたいところです。

すべての要望を取り入れる必要はありません。優先順位をつけて整理することで、限られた予算のなかでも納得感のある仕上がりに近づきます。

段階的に進めるという選択肢

一度にすべてを変える必要はなく、フロアごとや機能ごとに段階を分ける方法もあります。試しながら調整できるため、働き方の変化にも追随しやすくなります。

事業の成長に合わせて空間も育てていくという発想が、これからのオフィスには合っています。完璧を目指すよりも、変えやすさを残すことが結果的に費用対効果を高めます。

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リフォームの目的を共に整理し、理想の空間を形にするための設計パートナー選びのポイントについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶ 建築設計会社の選び方|後悔しないためのポイントと判断基準を解説

費用と工期の目安をどう捉えるか

判断に踏み切るうえで、おおよその費用感と工期を押さえておくことは欠かせません。規模や構造によって幅があるため、目安として捉えてください。

内装中心のリフォームの場合

既存の内装を活かしながら手を入れる場合、工期はおよそ3〜6ヶ月が目安です。スケルトン状態からの工事になると、さらに2〜3ヶ月ほど追加で見ておく必要があります。

業務を止めずに進めるには、工事監理を担う設計事務所と、工事管理を担う施工会社の連携が欠かせません。役割の違いを理解しておくと、打ち合わせもスムーズに進みます。

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設計会社と施工会社の役割の違いや分離発注のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶ 建築設計会社と施工会社の違いとは?特徴と選び方のポイントを解説

建築設計から関わる場合の幅

建物そのものに手を入れる場合、坪単価はおよそ110万〜315万円と幅があります。木造の平屋なら一年ほどで完成することもあれば、大規模な鉄骨造では5年かかることも珍しくありません。

規模や構造、法的な要件、地域の条件によって振れ幅が大きいため、一律の標準額を示すのは難しいのが実情です。早い段階で設計パートナーに相談し、条件を整理することが現実的な進め方になります。

事例紹介:建物自体が企業アイコンとなる(The PolyCuboid -TIA bldg.-)

株式会社ティアイエー 本社オフィスビルの事例を用いて、これまでの内容を実際の空間にどう落とし込んでいるかについて詳しく見ていきましょう。[cite: 1, 9]

兵庫県姫路市の建築設計事例 TIA事務所社屋ビルの外装デザイン
■ プロジェクトの要点
  • コンセプトとフォルム:保険を扱うティアイエーの企業ロゴマークからインスパイアされた外観[cite: 1, 9]。ボリュームを積み上げたオブジェのような印象を持ち、建物自体が企業を象徴するアイコンとなるデザイン[cite: 1, 9]。
  • 敷地インフラ制約の回避:敷地の地中を直径700ミリの送水管が横切る制約に対し、基礎および1階部分の形状をそのラインに沿って限定して計画[cite: 1, 9]。
  • 柱梁のない内部空間:鉄骨構造を採用しながら柱や梁といったストラクチャーの存在感を消し、すっきりとした内部ワークスペースを成立[cite: 1, 9]。
  • プロジェクト規模と評価:約188坪の計画規模において、「A’Design Award 2020 Gold」や「MUSE Design Awards Gold」をはじめとする多数のデザイン賞を受賞[cite: 1, 9]。
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) 地中送水管のラインに即して1階配置を整理し、約188坪の規模の中で保険代理店・コンサルタント業務に必要なオフィス機能と自由度の高い内部空間を確保[cite: 1, 9]。
強(構造・耐久性) 送水管を避ける特殊な基礎計画のうえに、柱や梁の存在感を感じさせない鉄骨構造の設計を適用し、安全性を保ちながらボリュームを積層[cite: 1, 9]。
美(美観) 企業ロゴをモチーフにレイアウトへ落とし込み、従来の建築物らしい印象を払拭したオブジェ的な外観によって独創的な企業ランドマークを創出[cite: 1, 9]。

判断時に確認したい項目

以下のリストは、リフォームを検討するときに確認しておきたい項目です。

リフォームを検討するときに確認しておきたい項目
  • 事業計画と空間規模の整合性
  • 工事期間中の業務継続の方法
  • 設計監理と施工管理の役割分担
  • 働き方の変化に対応できる柔軟性
  • 長期的な維持管理のしやすさ

これらを事前に整理しておくと、設計者や施工会社との打ち合わせが格段に進めやすくなります。投資判断の精度を高めるためにも、初期段階での確認が役立ちます。

よくある質問

Qオフィスリフォームと移転、どちらを選ぶべきですか?

A現在の立地に問題がなく、面積も大きく変える必要がない場合はリフォームが有利です。賃料や移転費用、社員の通勤への影響を比較したうえで判断するとよいでしょう。

Q業務を止めずにリフォームを進めることはできますか?

Aフロアやエリアを区切って段階的に工事を進める方法があります。設計段階から施工順序を計画しておけば、業務への影響を抑えながら進められます。

Q設計事務所と施工会社、どちらに先に相談すべきですか?

A目的や方向性を整理したい段階であれば、設計事務所への相談が向いています。空間の使い方を一緒に考えてくれるパートナーとして、初期から関わってもらうと判断がぶれにくくなります。

まとめ

この記事では、働き方の変化に合わせてオフィスをどう見直すか、その考え方と進め方を整理してお伝えしました。出社率の低下や採用競争といった背景を踏まえると、空間を変えることは経営判断のひとつとして十分な意味を持ちます。

大切なのは、面積を広げることではなく使い方を変えるという視点です。目的を言葉にし、社員の声を取り入れながら、段階的に育てていく姿勢が長く使えるオフィスを生み出します。今のオフィスに違和感を覚えているなら、まずは現状を整理することから始めてみてください。

「商業建築の設計は、ただ美しい箱を作りだすためのプロセスであってはならない。」というのが、私達KTXの考え方です。

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この記事のまとめ

✓ オフィスリフォームは働き方や企業成長を支える経営戦略の一環として考えることが重要

✓ 面積を広げるだけでなく、空間の使い方を見直す発想が快適性や生産性向上につながる

✓ リフォーム計画は現状の課題や目的を整理し、優先順位を明確にすることから始める

✓ 理想のオフィスづくりを実現するために、早い段階から設計パートナーへ相談することが成功の鍵となる

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2026.09.26



【この記事を書いた人 松本哲哉】
KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師
2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界9位(日本国内1位)

★ウィキペディア 松本哲哉(建築家)

【お問い合わせ先】
KTXアーキラボ一級建築士事務所
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kentixx@ktx.space 03-4400-4529 https://ktx.space/
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代表松本 Newsweek 誌インタビュー / KTXアーキラボ プロフィール / 建築設計・内装デザイン 事例集 / YouTube 動画チャンネル

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