- 公開日:2026/08/07
- 最終更新日:2026/09/09
病院やクリニックの改修(リフォーム・リニューアル。一般に「病院リフォーム」「医院リフォーム」とも呼ばれます)は、新築とは違う難しさがあります。診療を止められない、患者さんがいる中で工事をする、既存の建物の状態がわからない——。結論からいうと、改修に強い設計事務所は「診療を止めない工事計画」「病院特有の設計知識」「既存を生かす費用の仕分け」の3つができる事務所です。本記事では、この3つを含む6つの見極めポイントと、依頼前の確認リストをまとめました。
この3つを軸に病院・クリニックの改修を手がけているのが、KTXアーキラボ一級建築士事務所です。東京と姫路の2拠点から全国の医療施設の設計にあたり、国内外で100以上のデザイン賞を受けています。本記事は代表の松本哲哉(一級建築士)が監修しました。
先に結論:改修に強い設計事務所を見極める6つのポイント
- 1. 診療を続けながらの工事(居ながら改修)の計画力があるか
- 2. 感染対策・医療動線など、病院特有の設計知識があるか
- 3. 既存の建物を生かして費用を抑える「仕分け」ができるか
- 4. 図面が残っていない建物でも対応できる調査力があるか
- 5. デザイン力を第三者の評価(受賞歴など)で確認できるか
- 6. 費用の内訳と概算の出し方が明確か
順に説明します。
1. 診療を続けながらの工事(居ながら改修)の計画力
病院・クリニックの改修で最も大切なのは、診療への影響を最小限にする工事計画です。エリアを分けて順番に工事する「工区分け」、音や振動が出る作業を診療時間外に回す工程づくり、仮の受付や待合をどこに置くか——。これらは設計の段階で決まります。過去に「診療を止めずに改修した実績」があるかを、具体例で確認しましょう。
2. 感染対策・医療動線など、病院特有の設計知識
病院には、一般の建物にはない設計の決まりごとが多くあります。清潔なものと使用済みのものが交わらない動線、患者さんとスタッフの動線の分離、診療科ごとに必要な設備、バリアフリーや消防の基準など。改修ではこれらを既存の建物の制約の中で成立させる必要があるため、新築以上に経験の差が出ます。医療施設の実績は「件数」だけでなく、自院と近い規模・診療科の事例があるかを見てください。
3. 既存を生かして費用を抑える「仕分け」ができるか
改修費用を抑える最大のポイントは、「どこを生かし、どこに投資するか」の見極めです。既存の設備や内装を生かせれば、費用を30%から50%程度削減できる可能性がある一方、感染対策や動線など削ってはいけない部分もあります。この仕分けは工事の発注前=設計の段階でしかできません。費用の相場感は病院の内装リニューアル費用の記事に詳しくまとめています。
4. 図面が残っていない建物でも対応できる調査力
古い建物では、建てたときの図面が残っていないことが珍しくありません。壁や天井の中の配管・配線、建物の構造、アスベストの有無——。改修に慣れた設計事務所は、現地調査でこれらを把握し、「開けてみたら想定と違った」による追加費用のリスクを設計段階で小さくするノウハウを持っています。契約前に「現況調査をどこまでやるか」を確認しましょう。
5. デザイン力は第三者の評価で確認する
「患者さんに選ばれる医院にしたい」なら、デザイン力も重要な基準です。ただ、デザインの良し悪しを自分で判断するのは難しいもの。そこで役立つのが、国内外のデザイン賞など第三者の評価です。受賞歴は、プロの審査員が世界中の作品と比べて評価した客観的な証拠になります。事務所の受賞ページ(例:KTXアーキラボのAWARDS)で、医療施設の受賞実績を確認してみてください。
6. 費用の内訳と概算の出し方が明確か
設計前の段階でお伝えできる費用は、あくまで概算の目安です。ただし、概算の根拠(何を含み、何を含まないか)を説明できるかどうかで、その事務所の誠実さと経験がわかります。「坪いくら」の一言だけでなく、工事費・設計料・設備費・諸経費の関係を説明してくれる事務所を選びましょう。費用全体の考え方は店舗・クリニックの費用ガイド(総合)にまとめています。
依頼前に確認したいことリスト
- 診療を続けながらの改修実績はあるか(具体例を聞く)
- 自院と近い規模・診療科の実績はあるか
- 現況調査はどこまで行うか(費用に含まれるか)
- 工事中の騒音・振動・ほこり対策はどう計画するか
- 既存の設備・内装のうち、生かせるものを提案してくれるか
- 概算費用の根拠(含まれるもの・含まれないもの)を説明できるか
- 工事会社の見積りを設計者の立場でチェックしてくれるか
- 完成後の不具合や次の改修にも相談に乗ってくれるか
KTXアーキラボの改修への考え方
KTXアーキラボは、病院・クリニックをはじめとする商業空間の設計を専門とし、国際的なデザイン賞を多数受賞しています。代表・松本哲哉は現場監督としてキャリアをスタートし、工事費の積算や現場管理を経験してきたため、費用の仕組みに精通しています。実例として、姫路第一病院(総合病院)では、意匠性の高い設計を実現しながら、建物全体の建設費を全国平均より約20%抑えて完成させました(▶ 姫路第一病院の事例を見る)。
改修の計画は、早い段階でご相談いただくほど「生かせるもの」の選択肢が増え、費用を抑えやすくなります。▶ 設計・デザインの無料相談はこちら
よくある質問(病院・クリニックの改修)
Q. 診療を止めずに改修工事はできますか?
できるケースが多くあります。エリアを分けて順番に工事する方法や、音の出る作業を診療時間外に回す工程計画で、診療を続けながらの改修は可能です。ただし工事の内容や建物の状況によるため、早めに設計者へ相談することをおすすめします。
Q. 改修とリニューアルはどう違いますか?
ほぼ同じ意味で使われています。内装の模様替えのような小規模なものから、間取りや設備まで見直す大規模なものまで、どちらの言葉も幅広く使われます。大切なのは言葉より「どこまで手を入れるか」の範囲を明確にすることです。
Q. 改修費用の目安はどのくらいですか?
一般的なクリニックの内装で坪70万〜120万円程度が目安です。既存の設備や内装を生かせる場合は、費用を30〜50%程度削減できる可能性があります。設計前の段階の数字は概算の目安ですが、早い段階の相談ほど費用を抑える選択肢が多く残ります。
Q. 設計事務所と工事会社、どちらに相談すべきですか?
「工事ありき」で進めたくない場合は、設計事務所への相談をおすすめします。設計専門の事務所は工事を請け負わない立場のため、工事会社の見積りが妥当かを施主側の立場でチェックでき、複数社の比較もしやすくなります。
Q. 「病院リフォーム」と「改修」は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味です。一般には「病院リフォーム」「医院リフォーム」と呼ばれることが多く、設計の現場では「改修」と呼びます。どちらも、いまある建物に手を入れて使い続けるための工事を指します。呼び方よりも、内装だけなのか、設備や間取りまで見直すのかという範囲を先に決めることのほうが大切です。
まとめ
病院・クリニックの改修に強い設計事務所は、「診療を止めない工事計画」「病院特有の設計知識」「既存を生かす費用の仕分け」ができる事務所です。実績の中身・調査力・費用説明の明確さ・第三者のデザイン評価という視点で比較すれば、自院に合う相手が見えてきます。計画の早い段階での相談が、費用と質の両立への近道です。
「病院リフォーム」「医院リフォーム」という言葉で情報を探している方も、まずはこの6つの視点で候補を比べてみてください。

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