オフィス廊下の幅はどう決める?快適性と安全性を両立する設計の重要性

 
     
  • 公開日:2026/08/28
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  • 最終更新日:2026/08/28
オフィス廊下の幅はどう決める?快適性と安全性を両立する設計の重要性

オフィスの廊下の幅は、毎日の働きやすさと万が一のときの避難安全を両立させるために欠かせない要素です。法律で定められた最低限の数値を満たすだけでなく、社員がストレスなく行き交える設計こそが、生産性や満足度に直結します。

本記事では、建築基準法や消防法による基準を整理しつつ、実際の設計現場で意識したい推奨寸法、レイアウト時のチェックポイントまでをまとめました。新規開設や移転、リニューアルを検討する方が、設計パートナーと話すときの判断材料としてもお役立ていただけます。

この記事でわかること

建築基準法や消防法に基づくオフィス廊下幅の基本的な考え方

両側・片側で異なる最低幅の基準や、避難経路の考え方を整理します。

働きやすさや移動のしやすさを高める通路幅の目安と設計の工夫

通路の種類別の推奨寸法と、バリアフリー設計のポイントを紹介します。

レイアウト変更や改装時に確認しておきたい動線計画のポイント

図面確認・現地実測の重要性と、変更時の注意点を整理します。

安全性と使いやすさを両立させるオフィス設計の進め方

廊下幅が生産性やブランディングに与える経営的な影響を解説します。

法律で定められたオフィス廊下幅の基準

オフィスの廊下幅は、災害時の避難を想定した法律で最低ラインが定められています。まずは守るべき数値を整理しておきましょう。

建築基準法による廊下幅の基準

建築基準法施行令第119条では、オフィスビルなど特定の用途について廊下の最低幅が決められています。両側に居室があるかどうかで条件が変わるため、図面段階で確認しておくことが大切です。

具体的には、両側に部屋がある場合は1.6メートル以上、片側のみに部屋がある場合は1.2メートル以上が必要となります。床面積が200平方メートルを超える階で厳密に求められますが、それ以下の規模でも参考にしておくと安心です。

以下の表は、建築基準法に基づく廊下幅の基準を整理したものです。

建築基準法による廊下幅の基準
廊下の状況 最低幅 適用例
両側に居室がある場合 1.6m以上 両側に会議室や執務室が並ぶ廊下
片側のみに居室がある場合 1.2m以上 片側が外壁や窓、もう片側に部屋がある廊下
3室以下の専用廊下 規制対象外 小規模な専用エリア

消防法と労働安全衛生規則の考え方

建築基準法に加えて、消防法の観点からも、避難経路および非常時の動線には物品を置かず、安全に通行できる状態を保つことが重要です。階段や出口に至る経路が収納家具や備品でふさがれていると、災害時の避難に支障をきたすおそれがあります。

また、労働安全衛生規則では、作業場等の通路について最低80cm以上の幅を確保する考え方が示されています。ただし、実務上は2人がすれ違える余裕や車椅子での通行も考慮し、主要通路や階段に至る避難動線は120cm程度をひとつの目安として検討すると安心です。

法令上の基準はあくまで最低限の考え方であり、実際の働きやすさや安全性を高めるには、建物の用途や構造、利用人数に応じて余裕を持った通路幅を検討することが大切です。詳しい適用基準は建物ごとに異なるため、必要に応じて建築基準法の該当条項や設計担当者に確認しましょう。

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法令基準を踏まえたオフィス全体のレイアウト計画やゾーニングの進め方については、以下の記事も参考にしてみてください。
▶ オフィス設計の完全ガイド!建築設計がもたらす働きやすい環境づくり

快適性を高めるオフィス廊下幅の推奨サイズ

法律の基準を満たすだけでは、社員が日常的に感じる窮屈さは解消されません。快適なオフィスを目指すなら、ゆとりある寸法を意識しましょう。

通路の種類別に見る推奨寸法

日本人の平均的な肩幅はおよそ45~50センチとされ、すれ違いやチェアの引き代を考えると、用途ごとに必要な幅は変わってきます。メイン通路と細かなデスク間通路では考え方が異なります。

たとえば、出入口やエレベーター付近のメイン通路は150~180センチあると、人がすれ違っても流れが止まりません。一方で、1人通行が中心のサブ通路であれば80センチ程度から確保できます。

以下の表は、用途別の推奨幅を整理したものです。

用途別に見るオフィス通路の推奨幅
通路の種類 最低目安 快適推奨
メイン通路 120cm 150〜180cm
デスク間通路 60〜80cm 80〜120cm
壁とデスクの間 60cm 80〜90cm
会議室前・複合機周辺 90cm 120〜150cm
エントランス・受付 120cm 150〜200cm

多様な働き方に配慮したバリアフリー設計

近年は、車椅子利用者や高齢の来訪者への配慮も欠かせません。バリアフリー法を参考にすると、車椅子の通行には90センチ以上、すれ違いには120センチ以上が望ましいとされています。

来客対応の多い受付や役員フロアであれば、印象面でも余裕のある寸法を選びたいところです。150~200センチを確保することで、ゆったりとした応対と落ち着いた雰囲気を両立できます。

廊下幅にゆとりを持たせることは、来訪者への配慮であると同時に、社員一人ひとりの満足度を底上げする投資でもあります。

設計時に押さえたいチェックポイント

図面の段階で気付かなかった狭さは、入居後に大きなストレスにつながります。事前確認の精度が、完成後の快適さを決めると言っても過言ではありません。

図面確認および現地実測の重要性

廊下幅は壁の内側から内側まで、つまり内法寸法で測るのが基本です。柱や配管カバーなどの突起がある場合、最も狭い部分を基準として確認しましょう。

図面上で十分でも、実際にチェアを引いてみると通れない、台車が回らないといったケースは珍しくありません。完成前の現地確認や、模型・3Dパースを使った検証が役立ちます。

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有効な通路幅を確保する上で切り離せない、柱の位置や建物の骨組みといった「建築構造」の基礎知識については、以下の記事も参考にしてみてください。
▶ 建築構造とは?設計デザインとの関係をわかりやすく解説
設計段階で確認しておきたい主なポイント
  • メイン通路は120センチ以上、できれば150センチを確保しているか
  • デスク間はチェアを引いた状態でも通れるか
  • 避難経路上に物品が置かれる計画になっていないか
  • 柱や設備機器の周辺に極端に狭い箇所が生まれていないか
  • 車椅子での通行や来客動線に支障がないか

レイアウト変更時に注意したい点

テナント入居後にデスクや収納を増やすと、当初確保していた幅が狭くなりがちです。とくに避難経路にあたる部分は、消防検査で指摘を受ける原因にもなります。

増床や席数の見直しを行う際は、図面を更新したうえで設計者に相談するのが安全です。短期的な席数確保のために安全性を犠牲にすると、後々大きな手戻りにつながります。

レイアウト変更こそ、設計時の思想を維持できるかどうかが問われる場面であり、専門家との連携が鍵となります。

投資としてのオフィス廊下設計の考え方

廊下は一見すると面積効率を下げる場所に見えますが、働く人の体験を左右する重要な空間です。経営判断としての設計視点を持つことが大切です。

生産性と満足度に与える影響

狭い廊下は、すれ違いのたびに体を斜めにしたり、立ち止まったりといった小さなストレスを生みます。こうした積み重ねが、集中力や社員同士のコミュニケーションに影響を及ぼします。

反対に、ゆとりある通路では立ち話や偶発的なやり取りが生まれやすくなり、部署を越えた連携につながります。廊下は単なる移動空間ではなく、働き方を支える場でもあります。

不動産価値とブランディングの観点

来訪者が最初に通る動線は、企業の印象を大きく左右します。エントランスから執務室までの幅や仕上げに配慮すると、対外的なブランディングにもつながります。

また、賃貸オフィスであっても、退去時の原状回復や次のテナント募集を考えると、汎用性のある動線計画は資産価値を保つ要素となります。短期的なコストだけでなく、長期視点での判断が求められます。

以下の表は、廊下幅の取り方が経営面に与える影響を整理したものです。

廊下幅の選択がもたらす経営的な影響
観点 狭い廊下の場合 ゆとりある廊下の場合
生産性 すれ違いストレスで集中が乱れる 移動がスムーズで作業効率が上がる
来訪者の印象 窮屈で安価な印象になりやすい 落ち着きと信頼感を与える
安全性 避難遅延や接触リスクが高まる 避難経路として機能しやすい

廊下に投じた数十センチのゆとりが、長期的には人材の定着や企業価値の向上に結びついていきます。

これまで解説した動線計画や構造への配慮が、実際のオフィス建築でどのようにカタチになっているか、KTXアーキラボが手掛けた具体事例をご紹介します。

事例紹介:建物自体が企業アイコンとなる(The PolyCuboid -TIA bldg.-)

株式会社ティアイエー 本社オフィスビルの事例を用いて、これまでの内容(敷地制約の克服や構造・動線計画)を実際の空間にどう落とし込んでいるかについて詳しく見ていきましょう。

■ プロジェクトの要点
  • コンセプト:「建物自体が企業を象徴するアイコンとなる」。保険を扱うクライアント企業のロゴマークから着想を得た、キューブを積み上げたオブジェのような外観デザイン。
  • 敷地制約と動線計画:敷地の地中を直径700ミリの送水管が横切るという厳しい制約に対し、そのラインに沿って基礎および1階形状を限定。限られた配置条件の中で約188坪の必要なオフィス機能と円滑な動線を成立。
  • 構造的アプローチ:鉄骨構造でありながら柱や梁といった骨組みの存在感を意図的に消し去り、一般的な建築物らしい印象を排した造形美を実現。
  • ブランド形成:一目で企業を印象づける圧倒的なシンボル性が評価され、「A’Design Award 2020 Gold」をはじめ多数の国際的なデザイン賞を受賞。企業価値の向上に貢献。
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) 地中送水管のラインに合わせて建物の配置と動線を整理し、敷地制限をクリアしながら業務効率を高めるオフィス空間と機能的な通路幅を両立。
強(構造・耐久性) 敷地条件の制約を受けつつも、鉄骨造の柱梁を感じさせない精密な設計手法により、安全性を確保しながら先進的な立体構造を成立。
美(美観) 「企業ロゴ」を立体化したオブジェのような造形により、一般的なオフィスビルの枠を超えた圧倒的な存在感とブランディング効果を創出。

よくある質問

Q小規模オフィスでも建築基準法の廊下幅は適用されますか?

A床面積200平方メートル以下の階や、3室以下の専用廊下は建築基準法の規制対象外となる場合があります。ただし、消防法や労働安全衛生規則は別途適用されるため、安全性の観点から最低80センチ〜120センチ程度の確保をおすすめします。

Qデスク間の通路幅はどのくらいが理想でしょうか?

A1人が通る程度であれば60センチでも可能ですが、チェアを引いた状態で通行する場合は80センチ以上が現実的です。複数人が頻繁に行き交うエリアでは、120センチ程度を確保するとストレスが大きく減ります。

Q既存オフィスのレイアウト変更だけでも設計者に相談すべきですか?

A席数の追加や収納の増設で避難経路が変わる場合、消防法や建築基準法に抵触する可能性があります。図面の確認を含めて専門家に相談すると、後々のトラブル回避につながります。

まとめ

この記事では、オフィス廊下の幅をどのように決めるかについて、法律基準と快適性、そして経営視点の3つの軸から整理してきました。最低限の数値を守るだけでなく、働く人の動きや来訪者の印象まで含めて考えることが、満足度の高い空間につながります。

新築や移転、レイアウト変更のいずれの場面でも、設計の出発点で廊下幅をどう位置付けるかが、その後のオフィスの使い心地を大きく左右します。図面段階での丁寧な検討と、信頼できる設計パートナーとの対話が成功の鍵となります。

「商業建築の設計は、ただ美しい箱を作りだすためのプロセスであってはならない。」というのが、私達KTXの考え方です。

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この記事のまとめ

建築基準法で定められた1.2m〜1.6mの通路幅は、安全な避難を確保するための基本的な基準となる

メイン通路は150cm前後を目安に、利用人数や用途に応じてゆとりのある寸法を確保することが快適性につながる

レイアウト変更の際は図面も更新し、避難経路や日常の動線を改めて確認することが重要

安全性と使いやすさを両立したオフィスを実現するためには、経験豊富な設計パートナーとの連携が欠かせない

空間の目的やブランドイメージに合わせてご希望に沿った建築設計をご提案しております。デザイン相談はこちら



【この記事を書いた人 松本哲哉】
KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師
2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界9位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)

【お問い合わせ先】
KTXアーキラボ一級建築士事務所
東京都港区南麻布3-4-5 兵庫県姫路市船丘町298-2
kentixx@ktx.space 03-4400-4529 https://ktx.space/
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代表松本 Newsweek 誌インタビュー / KTXアーキラボ プロフィール / 建築設計・内装デザイン 事例集 / YouTube 動画チャンネル

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