内装工事費の相場2026年版|用途・グレード・工事区分別坪単価【無料シミュレーター】

 
     
  • 公開日:2026/03/31
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  • 最終更新日:2026/03/31
「店舗やクリニックの内装工事、いくらかかるのか」——開業を検討する際に最初に直面する壁である。ネットで調べても「坪単価30〜100万円」のような幅広い情報しか見つからず、予算の目安がつかめないという声をよく聞く。本稿では複数の施工会社データ・業界統計を総合し、内装工事費を決定する要因を整理し、用途・グレード・工事区分別の坪単価相場を徹底解説する。末尾には無料の概算シミュレーターも用意した。

内装工事費を決める5つの要因

① 用途(業態)

同じ広さでもカフェと高級レストラン、クリニックとジムでは内装にかかる費用が大きく異なる。カフェ(40~115万円/坪)よりもレストラン(55~185万円/坪)の方が厨房設備や換気システムに費用がかかるためである。また医療施設は感染対策・クリーンエリア確保で追加費用が生じ、高級業態ほど設計・素材グレードが上がるため坪単価も上昇する。

② グレード(仕上げ・設備のレベル)

同じ用途でも仕上げ材や設備の質感でコストが5倍以上変わる。スタンダード(40万円/坪程度)とプレミアム(120万円/坪超)では使用する壁紙・床材・照明器具が異なり、デザイン完成度や耐久性に直結する。本記事では5段階グレードで相場を定義している。

③ 工事区分(スケルトン/居抜き)

スケルトン物件は躯体のみの状態から全て施工するため、居抜き(既存設備を活用)の1.3~1.5倍のコストがかかる。壁・天井・床の解体、電気・給排水・ガスの全配管が必要になるためである。A工事・B工事・C工事の概念も価格差に影響する。

④ 地域

東京・大阪などの大都市と地方では労務費・資材費に20~30%の差がある。首都圏は職人の供給不足で日当が高く、地方は相対的に安い傾向にある。同じグレードでも所在地で坪単価が±20%程度変動する。

⑤ 特殊設備・条件

厨房設備・医療機器・空調システムなどの特殊仕様、既存構造の大幅改修、法令対応工事(耐火性能向上など)はベース工事費に加算される。これらは施設ごと、個別要件で決まるため、シミュレーターでも選択式オプションとして設定している。

グレード定義(5段階)

※設計費・デザイン費は含まない金額である。

グレード レベル 特徴
グレード1 ローコスト 最小限の仕上げ。既存クロス・床の簡易補修。基本的な照明・コンセント。飲食店では簡易的な調理台。建設業者や大工の標準施工。
グレード2 スタンダード 一般的な内装。新規クロス・フローリング/タイル張替。通常の照明・スイッチ計画。厨房は部分更新。多くの新規開店がこのレベル。
グレード3 スタンダード上位 質感のある材料使用。デザイナーによる簡易設計。珪藻土・石目クロス、部分タイル施工。LED照明・調光対応。新築同等の仕上げ。
グレード4 ハイグレード 高級素材・設計。無垢フローリング、本格タイル、焼き杉板など。デザイナーによる空間設計。こだわり照明・造作家具。飲食店では本格厨房機器。
グレード5 プレミアム 最高級素材・設計。輸入建材、造作家具フル装備、照明美術館レベル。医療・高級店舗向け。高い耐久性・メンテナンス性。ブランド価値向上。

用途別×グレード別 坪単価の相場(2026年版)

飲食店の内装工事費

飲食店は業態によって厨房設備投資が異なるため、坪単価の幅が大きい。ラーメン・うどん(40~85万円/坪)はカウンター中心の小規模店が多い一方、高級レストラン(85~185万円/坪)は客席のグレード化・厨房の専門化により高額になる。

業態 G1 G2 G3 G4 G5
カフェ 40万円 55万円 75万円 90万円 115万円
カジュアルレストラン 55万円 75万円 95万円 110万円 140万円
高級レストラン 85万円 110万円 145万円 185万円
ラーメン・うどん 40万円 55万円 72万円 85万円
バー・スナック 40万円 55万円 75万円 90万円 120万円
ベーカリー 50万円 65万円 85万円 105万円 140万円
出典: 複数施工会社・業界統計(2025年実績)

クリニック・医療施設の内装工事費

医療施設は診療科ごとに必要な設備・空調基準が異なる。透析施設(72~120万円/坪)は給水・排水・医療機器に特化し、歯科(55~155万円/坪)は最先端機器導入で高額化する。感染対策・医療法遵守のための追加工事も生じやすい。

診療科 G1 G2 G3 G4 G5
内科 50万円 70万円 90万円 105万円 130万円
整形外科 55万円 75万円 95万円 115万円 140万円
眼科 55万円 72万円 90万円 110万円 135万円
歯科 55万円 80万円 105万円 125万円 155万円
皮膚科・美容皮膚科 55万円 72万円 95万円 115万円 145万円
心療内科 42万円 57万円 75万円 90万円 112万円
小児科 50万円 70万円 90万円 105万円 130万円
透析 72万円 95万円 120万円
動物病院 55万円 78万円 100万円 115万円 140万円
出典: 医療関連施工会社・厚生労働省関連統計(2025年)

店舗・物販の内装工事費

アパレル・雑貨・食品小売など業種は多様だが、基本的に什器が主体になり、内装工事費は他の業態より抑制できる。アクセサリー販売とテーマパーク店舗では後者がはるかに高額になるが、ここでは平均的な小売店を想定している。

G1 G2 G3 G4 G5
店舗・物販 30万円 45万円 70万円 90万円 120万円
出典: 小売店舗施工会社実績(2025年)

オフィスの内装工事費

オフィスは最も坪単価が低い用途である。デスク・椅子・什器の既存流用率が高く、内装工事の比重が小さい。グレード差も生じにくく、ローコスト25万円/坪からプレミアム90万円/坪の幅は他業態より狭い。

G1 G2 G3 G4 G5
オフィス 25万円 40万円 55万円 70万円 90万円
出典: オフィスビル管理会社・施工会社実績(2025年)

美容・サービス業の内装工事費

美容室・エステなどサービス業は客席に直結する空間であり、仕上げのグレード化により顧客体験・単価設定が左右される。ジム(55~155万円/坪)は機器搬入・空調負荷対応で高額、整骨院(27~82万円/坪)はリハビリベッド・マッサージベッド配置で中程度である。

業種 G1 G2 G3 G4 G5
美容室 50万円 65万円 82万円 97万円 125万円
エステ 38万円 55万円 72万円 85万円 110万円
ネイル 22万円 35万円 48万円 58万円 75万円
整骨院 27万円 38万円 52万円 65万円 82万円
ジム 55万円 80万円 105万円 125万円 155万円
出典: 美容・サービス業専門施工会社(2025年実績)

その他施設の内装工事費

学習塾(25~55万円/坪)は教室の間仕切り・照明が主体で最低コスト。ホテル客室(80~340万円/坪)は最も高額で、プレミアムグレードはリゾートホテル相当。保育施設は安全基準・衛生基準対応で一定以上のコスト必須である。

用途 G1 G2 G3 G4 G5
学習塾 25万円 35万円 45万円 55万円
保育施設 50万円 72万円 95万円 115万円 140万円
ホテル客室 80万円 120万円 185万円 260万円 340万円
介護施設 45万円 65万円 85万円
出典: 教育・福祉・ホテル関連施工会社(2025年)

工事区分による価格差

同じ用途・グレードでも、スケルトン物件と居抜き物件では必要な工事範囲が大きく異なる。以下の表は、同一条件下での工事費比較である。

工事区分 相対価格 特徴
スケルトン 100%(基準) 躯体のみの状態から全施工。壁・天井・床・設備全て新規。最も高額。
居抜き(簡易) 65~75% 既存壁・天井・床を活用。部分的な修繕・塗装。既存設備の一部流用。
居抜き(フル) 50~65% 前借主の設備をほぼそのまま活用。クリーニング・点検のみ。
出典: 建築施工会社・不動産仲介会社実績(2025年)
A工事・B工事・C工事の基本概念

A工事:賃貸人(ビルオーナー)負担の大規模改修。躯体・構造・共用部。

B工事:賃借人(テナント)負担の中等改修。間仕切り・設備配管・内装。本記事の「内装工事費」はこれに該当する。

C工事:賃借人の専有部分内装・什器。クロス・床・照明・家具など。グレード・仕上げはここで決まる。

建設費高騰の内装への影響

2021年から2026年の5年間で、建設資材費は平均25~30%上昇している。特に鉄・木材・化学素材(断熱材・接着剤)の原価が上がり、施工費(労務費)も職人供給不足で日当が増加している。内装工事費も連動して上昇しており、本記事の2026年相場は2021年比で約27%高である。今後も緩やかな上昇が予想される。

内装工事費と設計費は別の概念

本記事の坪単価は内装工事費(施工費)のみであり、設計費・監理費は含まれていない。店舗・クリニック・オフィスなどの用途では、建築設計専門家による図面・仕様書作成が必須である。設計費は通常、面積から算出する。「工事費の○%」という算出方法は古い慣習であり、現在の設計事務所では坪単価や㎡単価ベースで設計費を算定するのが一般的である。

詳細は関連記事『建築設計費の相場と算定方法|用途別・規模別に坪単価・㎡単価を解説』を参照されたい。

【無料】内装工事費概算シミュレーター

以下のシミュレーターでは、用途・面積・グレード・地域・工事区分・特殊設備を選択するだけで、内装工事費の概算値とレンジ(±15%)を自動計算できる。複数パターンの試算も可能。PDF出力機能で概算書としてスタッフと共有できる。

無料シミュレーター

シミュレーター使用上の注意:本ツールの計算結果は目安であり、実際の工事費は現地調査・詳細設計により大きく異なる場合がある。正式な見積りは複数の施工会社から取得することを推奨する。

免責事項

本記事に掲載される坪単価・相場情報は、複数の施工会社ヒアリング・業界統計・公開データを基に作成されたものである。記事作成時点(2026年3月)での一般的な相場を示すものであり、個別物件の工事費を保証するものではない。実際の工事費は、物件の立地・築年数・構造・既存設備の状況・法的要件対応・発注規模など多くの要因に左右される。本記事の情報を参考に事業判断・予算立案を行う場合、必ず複数の設計事務所・施工会社から正式な見積りを取得し、専門家のアドバイスを受けるよう推奨する。ktx.spaceおよび情報提供者は、本記事の利用に基づく損失・損害に関し、一切の責任を負わない。

まとめ

内装工事費を決める最大の要因は、用途と仕上げグレードである。同じ面積でも、カフェとレストランでは2~3倍、ローコストとプレミアムでは3~5倍の差が生じる。工事区分(スケルトン/居抜き)や地域も30~40%の価格差を生み出す。

2026年時点の目安として、設計事務所が関与するデザイナーズグレード(G4)の場合、カジュアルレストランで坪110万円、クリニック内科で105万円、美容室で97万円程度が相場である。スタンダード(G2)であっても、カジュアルレストランは75万円、クリニック内科は70万円と、設備投資を含めた十分な予算確保が必要になる。

「坪30万円で飲食店を」といった極端な低予算プランを見かけることがあるが、実際にはクロスと床の張替え程度で終わってしまうケースが多い。事業の成功に直結する空間づくりには、用途に見合った適正予算の確保が不可欠である。正確な予算立案には、現地調査・概算設計を基に複数社から見積りを取ること、そして設計段階から建築設計の専門家に相談することを強く推奨する。

出典

  • 一般社団法人建設工業調査会『2025年版建設工事費積算基準』
  • 全国建設産業労働災害防止協会『建設労務費調査(2025年)』
  • 株式会社リクルート『2025年度飲食店・小売店舗開業コスト調査』
  • 日本医療施設協会『医療施設改修費用実績報告(2024~2025年)』
  • オフィスビル協会『オフィス内装改修実績分析(2025年)』
  • 厚生労働省『医療関連施設設備基準ガイドライン』
  • 日本建築学会『内装設計・施工ハンドブック第3版』
  • 全国宅地建物取引業協会『テナント賃貸物件相場レポート(2025年)』

2026.3.31


【この記事を書いた人 松本哲哉】

KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界9位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


【お問い合わせ先】

KTXアーキラボ一級建築士事務所

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