- 公開日:2026/02/06
- 最終更新日:2026/02/06
建築設計事務所のAI活用法・AIプロジェクトマネージャー
今回のテーマは**「NotebookLM × Gemini Gems(ジェム)」の連携です。
単に資料を読み込ませるだけでなく、それを「プロジェクト専属のAIマネージャー」として人格化(Gems化)し、チームの一員として運用する**という手法は、建築DXの最先端を行くコンテンツになります。
はじめに:建築現場から「あの書類どこ?」をなくしたい
建築プロジェクトは、生き物です。
日々更新される図面、毎週の定例会議の議事録、行政との協議記録、クライアントからのメール、現場の写真…。
一つのプロジェクトが完工するまでに、数千、数万というファイルが飛び交います。
「先月の打ち合わせで、院長先生なんて言ってたっけ?」
「衛生設備の変更、構造図に反映されてたかな?」
これを確認するために、過去のメールやフォルダを漁る時間は、クリエイティブな時間ではありません。
そこでKTXアーキラボでは、Googleの最新技術を組み合わせ、プロジェクトごとに**「AIプロジェクトマネージャー」**を雇用(生成)しています。
今回は、**「NotebookLM」を記憶の保管庫とし、「Gemini Gems(ジェム)」**を頭脳として連携させる、私たちの最新のマネジメント術を公開します。
1. 仕組み:NotebookLMが「脳」、Gemsが「口」
私たちが構築している「AIプロジェクトマネージャー」の仕組みはシンプルですが強力です。
STEP 1:NotebookLMにすべてを記憶させる
まず、Googleの「NotebookLM」に、そのプロジェクト専用のノートブックを作成します。
ここに、プロジェクトの進行に合わせて発生するあらゆるデータを放り込みます。
* 基本設計図・実施設計図(PDF)
* 施主定例・現場定例の議事録(PDF/音声文字起こし)
* 見積書・予算管理表
* 機器スペック表・カタログ
* 行政協議の記録
これが、AIの「長期記憶」となります。NotebookLMは数十冊分の書籍に相当する情報量を処理でき、かつ「ソース(元データ)に基づかないことは言わない」という特徴があるため、嘘をつくリスクが極めて低いです。
STEP 2:Gemini Gems(ジェム)で人格を与える
次に、生成AI「Gemini」のカスタム機能である「Gems(ジェム)」を使います。
ここで「〇〇クリニック新築計画・専属マネージャー」というGemを作成し、知識の参照元(Knowledge source)として、STEP 1で作ったNotebookLMを指定します。
さらに、以下のような指示(インストラクション)を与えます。
> あなたはこのプロジェクトのPMです。常にNotebookLM内の最新資料に基づき、設計の矛盾、コストの変動、スケジュールの遅延リスクを監視し、設計者をサポートしてください。
>
これで、私たちのチームに「24時間眠らず、すべての資料を把握しているAIスタッフ」が誕生します。
2. AIプロジェクトマネージャーの仕事ぶり
実際に、このAIが現場でどのように活躍しているか、具体的なシーンをご紹介します。
シーン①:「言った言わない」の即時解決
打ち合わせ中、ふと疑問が湧いた時、スマホからGemsに話しかけます。
人間:
「先生が待合室のソファの色について要望を出したのっていつだっけ?あと、その時メーカーの指定はあった?」
AIマネージャー:
「はい、2025年12月4日の議事録を確認しました。院長より『汚れが目立ちにくい色』かつ『高齢者が立ち上がりやすい座面硬め』との要望がありましたが、具体的なメーカー指定はありませんでした。ただし、1月19日のメールで施主様よりコクヨ製のカタログが送付されています。」
人間が記憶を頼りに探せば30分かかる作業が、わずか10秒で解決します。
シーン②:矛盾の自動検知
設計変更があった際、AIに整合性チェックを依頼します。
人間:
「昨日アップロードした『変更平面図_v3』と、先月の『見積書』を比較して。壁の位置が変わったけど、コンセントの数は見積もりの範囲内に収まってる?」
AIマネージャー:
「警告します。平面図v3では診察室のコンセントが計4か所増えていますが、現在の見積書(v2)には反映されていません。電気工事店への追加見積もり依頼が必要です。」
このように、AIは図面と数字を横断してチェックできるため、ヒューマンエラーによるコスト超過を未然に防ぎます。
シーン③:新入所員の教育係
プロジェクトの途中から参加したスタッフも、AIに聞けばすぐに状況を把握できます。
スタッフ:
「このプロジェクトの重要事項と、現在の懸念点は?」
AIマネージャー:
「本プロジェクトは市街化調整区域での開発案件であり、行政許可のスケジュール管理が最重要です。現在の懸念点は、埋蔵文化財の試掘結果待ちによる着工遅延リスクです。関連資料は『行政協議フォルダ』にあります。」
3. テクノロジーは「デザイン」のためにある
私たちがここまで徹底してAIを活用する理由は、楽をするためではありません。
「管理」にかかる時間を極限まで圧縮し、「デザイン」や「クライアントとの対話」に時間を使うためです。
建築家の仕事の本質は、書類探しではありません。
美しい空間を描き、施主様の夢を形にすることです。
KTXアーキラボでは、NotebookLMやGeminiといった最新のテクノロジーを裏方として駆使し、表舞台では人間ならではの感性で、最高のご提案をさせていただきます。
2026.2.5

【この記事を書いた人 松本哲哉】
KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師
2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)
【お問い合わせ先】
KTXアーキラボ一級建築士事務所
東京都港区南麻布3-4-5 エスセナーリオ南麻布002
兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F
事業内容
飲食店・クリニック・物販店・美容院などの店舗デザイン・設計
建築・内装工事施工
メール:kentixx@ktx.space
電話番号:03-4400-4529(代表)
ウェブサイト:https://ktx.space/
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