高級リノベーションとは?上質な住まいを実現する設計・デザインの極意

 
     
  • 公開日:2025/12/28
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  • 最終更新日:2025/12/28

中古マンション購入や既存住宅の価値向上を検討する際、単なる修繕ではなく「資産価値の最大化」と「上質な暮らし」を両立させる高級リノベーションが注目を集めています。経営者や病院理事長など決裁権を持つ方々にとって、住まいは単なる生活空間ではなく、ステータスや投資対象としての側面も持ちます。デザイナーズリノベーションによってホテルライクな空間を実現し、最新設備やスマートホームシステムを導入することで、長期的な満足度と資産価値を同時に高めることが可能です。

この記事では、高級リノベーションの費用相場から素材選び、施工プロセスまで、上質な住まいを実現するための実践的な知識を詳しく解説します。

高級リノベーションの費用

高級リノベーションを成功させるためには、適切な予算計画と費用の正確な把握が不可欠です。一般的なリフォームとは異なり、オーダーメイド設計や高品質素材の採用により費用は大きく変動します。ここでは、相場感や見積りの読み方、資金調達の方法について、実務的な視点から解説します。

高級リノベーションの相場と費用内訳

リノベーションの費用相場は、マンションの規模や設計内容によって大きく異なりますが、一般的には平米単価30万円から80万円程度が目安となります。100平米の高級マンションをフルリノベーションする場合、3,000万円以上の予算が必要になることも考えられるでしょう。この金額には、スケルトンリフォームによる間取り変更、予算によってはラグジュアリー内装の施工、ハイグレードキッチンなどの最新設備の導入が含まれます。

またインテリアコーディネートやオーダーメイド家具の製作、セキュリティシステムや省エネ設備の導入など、付加価値を高める要素を追加すると、さらに上乗せが発生します。デザイナーズリノベーションでは、空間全体の統一感と機能性を重視するため、既製品では満たせない要求に応えるためのコストが必然的に増加します。

予算オーバーを防ぐ見積りの読み方

高級リノベーションにおいて予算オーバーは珍しくありません。これを防ぐためには、見積書の詳細を正確に理解し、各項目の妥当性を判断する能力が求められます。見積書は「一式」という曖昧な表記ではなく、工事内容・使用素材・数量・単価が明確に記載されているものを求めることが大切です。特に「諸経費」や「現場管理費」などの項目については、その内訳と根拠を設計事務所や施工会社に確認することが重要です。

また高級リノベーションでは変更や追加が発生しやすいため、契約前に変更時の追加費用算定ルールを明文化しておくことが不可欠です。例えば、当初予定していた素材から別の高級素材に変更する場合、差額がどのように計算されるのか、施工途中での設計変更には追加費用が何%上乗せされるのかなど、具体的な取り決めを契約書に盛り込みます。

さらに、複数の設計事務所や施工会社から相見積もりを取得し、比較検討することも重要です。ただし、単純に総額の安さだけで判断するのではなく、提案内容の質・使用素材のグレード・アフターサービスの充実度なども総合的に評価する必要があります。高級リノベーションでは、長期的な満足度と資産価値向上を実現するために、適正な投資を行うという視点が求められます。

資金調達とローンや補助金の活用

高額な投資となる高級リノベーションでは、資金調達の方法も重要な検討事項です。自己資金のみで賄えない場合、リフォームローンや住宅ローンの借り換えを活用する選択肢があります。リフォームローンは無担保型と有担保型があり、無担保型は手続きが簡便ですが借入額の上限が低く金利も高めです。一方、有担保型は物件を担保にすることで高額融資が可能となり、金利も低く抑えられます。

中古マンション購入と同時にリノベーションを行う場合は、「購入費用+リノベーション費用」を一本化した住宅ローンを組むことで、金利負担を軽減できます。金融機関によっては、物件の資産価値の向上を評価して融資条件を優遇するケースもあります。特に、省エネ設備やセキュリティシステムの導入など、物件価値を高める要素が含まれている場合は、審査においてプラス要因となります。

また、一定の条件を満たす場合には、国や自治体の補助金・助成金制度を活用できる可能性があります。省エネルギー性能を向上させるリノベーション、耐震性能を強化する工事、バリアフリー化などには補助金が適用されることがあります。高級リノベーションにおいても、これらの要素を設計に組み込むことで、コスト負担を軽減しながら資産価値向上を図ることが可能です。ただし、補助金の申請には一定の手続きと審査期間が必要となるため、スケジュールに余裕を持って計画することが重要です。

高級リノベーションのデザインと素材選び

高級リノベーションにおいて、デザインと素材選びは空間の質を決定づける最も重要な要素です。単に高価な素材を使えば良いというものではなく、空間全体の調和・機能性・耐久性を考慮した総合的な判断が求められます。ここでは、ラグジュアリーな空間を実現するための具体的な原則と、素材選定のポイントについて解説します。

ラグジュアリーなデザインの基本原則

ホテルライクな高級感を実現するためには、いくつかの基本原則があります。まず空間の余白と開放感を重視したデザインです。スケルトンリフォームによって間取り変更を行い、不要な壁を撤去して視線の抜けを確保することで、広がりのある上質な空間が生まれます。天井高を活かした設計や、大きな開口部による採光計画も、ラグジュアリー内装の基本となります。

第二に、色彩計画の統一性が挙げられます。高級リノベーションでは、ベースカラー・アクセントカラー・ポイントカラーを明確に定義し、空間全体の調和を保ちます。一般的には、落ち着いたニュートラルトーンをベースに、天然素材の質感を活かした配色が好まれます。過度な装飾や多色使いは避け、洗練されたシンプルさの中に上質さを表現することが、真のラグジュアリーデザインの特徴です。

第三に、機能性とデザイン性の両立です。オーダーメイド設計では、見た目の美しさだけでなく、日常生活の利便性や動線の効率性も重視します。例えば、ハイグレードキッチンでは、調理機器の性能はもちろん、収納計画や作業スペースの確保、家事動線の最適化など、実用面での完成度が求められます。スマートホームシステムの導入においても、操作の直感性や生活スタイルへの適合性を考慮し、技術が空間に自然に溶け込むような設計が理想的です。

照明と仕上げで高級感をつくる方法

照明計画は、高級リノベーションにおいて最も効果的に空間の質を高める要素の一つです。一般的な住宅では天井の中央に一つのシーリングライトを配置する単純な照明計画が多いですが、ラグジュアリー内装では「多灯分散照明」という手法が用いられます。これは、複数の照明器具を組み合わせて、空間に陰影と立体感を創り出す技術です。

具体的には、以下のような照明レイヤーを構築します。

高級空間を演出する照明レイヤー構成
  • ベース照明:ダウンライトや間接照明で空間全体を均一に照らす基本照明
  • タスク照明:デスク・キッチンカウンター・洗面台など作業エリアの機能的照明
  • アクセント照明:アート作品・壁面・植栽などを照らし空間に奥行きを与える演出照明
  • 装飾照明:デザイン性の高いペンダントライトやシャンデリアなど空間の主役となる照明

調光機能や調色機能を持つスマートホーム対応の照明システムを導入することで、時間帯や用途に応じて照明環境を最適化できます。朝は爽やかな白色光で活動的に、夜は温かみのある電球色でリラックスした雰囲気を演出するなど、生活の質を高める柔軟な照明コントロールが可能になります。

また、仕上げの細部にこだわることも高級感の創出には欠かせません。壁と天井の取り合い部分に廻り縁を設ける、建具の枠材に重厚な無垢材を使用する、スイッチプレートやドアハンドルなどの金物類に真鍮や高級ステンレスを採用するなど、細部の質感が空間全体の印象を大きく左右します。これらの要素は個別には小さなコストアップですが、積み重ねることで他とは明確に差別化された上質な空間が実現します。

デザイン住宅

高級リノベーションの施工プロセス

高級リノベーションを成功させるためには、綿密な施工計画と品質管理が不可欠です。一般的なリフォームよりも工程が複雑で、オーダーメイド設計による特注品の製作や、高度な施工技術を要する作業が多く含まれます。ここでは、設計から引き渡しまでの具体的なプロセスと、品質を確保するためのポイントについて解説します。

設計から引き渡しまでの標準的な流れ

高級リノベーションのプロセスは、通常6ヶ月から12ヶ月程度の期間を要します。まず、初期相談から基本設計までの段階では、クライアントの要望を詳細にヒアリングし、ライフスタイルや価値観を理解した上で、空間コンセプトを構築します。この段階で、間取り変更の可能性や構造上の制約を確認し、大まかな予算感と工期の見通しを立てます。期間としては1ヶ月から2ヶ月程度が標準的です。

次に、実施設計の段階では、基本設計で確定したコンセプトをもとに、詳細な図面・仕様書を作成します。使用する素材の選定、設備機器の仕様決定、照明計画の詳細化、インテリアコーディネートの具体化など、施工に必要なすべての情報を確定させます。この段階では、サンプルを確認しながら最終的な素材や色を決定し、見積書の精度を高めます。実施設計には2ヶ月から3ヶ月程度を要することが一般的です。

工事段階では、まずスケルトンリフォームによる解体工事から始まります。既存の内装材や設備を撤去し、構造躯体の状態を確認します。この段階で予期せぬ劣化や不具合が発見されることもあり、追加補修が必要になる場合があります。その後、配管・配線などの設備工事、間取り変更に伴う建築工事、内装仕上げ工事、設備機器の設置工事と順次進行します。高級リノベーションでは、大理石フローリングの施工や無垢材の加工、オーダーメイド家具の製作など、高度な技術と時間を要する工程が含まれるため、工事期間は3ヶ月から6ヶ月程度を見込む必要があります。

工期とスケジュール管理のポイント

高級リノベーションにおいて、工期の遅延は珍しくありません。これを最小限に抑えるためには、計画段階からリスクを想定したスケジュール管理が重要です。まず、工事開始前に余裕を持った全体スケジュールを策定し、各工程の前後関係と所要日数を明確にします。特に、海外からの輸入素材や特注品の製作には予想以上の時間がかかることがあるため、早期発注と進捗確認が必要です。

施工中は、定期的な工程会議を開催し、進捗状況と課題を共有します。週次または隔週で設計者・施工管理者・クライアントが集まり、写真や図面をもとに進捗を確認し、必要に応じて調整を行います。特に、デザイナーズリノベーションでは、実際の施工状況を見ながら微調整が発生することが多いため、柔軟な対応力と迅速な意思決定が求められます。

工期遅延の主な要因と対策
  • 設計変更:契約前に設計内容を十分に検討し、施工開始後の変更を最小限に抑える
  • 特注品の製作遅延:製作期間に余裕を見込み、早期発注と進捗管理を徹底する
  • 天候不良:屋外工事や搬入作業に影響するため、予備日を設定しておく
  • 職人の手配:高度な技術を持つ職人は限られるため、早期に確保する
  • 検査・承認の遅れ:必要な届出や検査のスケジュールを事前に確認し、余裕を持って手配する

特に居住しながらのリノベーションではなく、仮住まいを確保して全面改修を行う場合、仮住まい期間の延長は追加コストにつながります。そのため、現実的なスケジュールと適切なバッファを設定し、確実な工程管理を行うことが重要です。

品質管理と検査で押さえるチェック項目

高級リノベーションでは、通常のリフォーム以上に厳格な品質管理が求められます。施工中の各工程で適切な検査を行い、問題があれば即座に是正することが、最終的な完成度を高めるために不可欠です。まず、スケルトン状態での構造検査では、躯体のひび割れ・鉄筋の錆・防水層の劣化など、構造的な問題がないかを確認します。この段階で発見された問題は、内装工事に入る前に必ず補修しておく必要があります。

配管・配線工事の段階では、給排水管の勾配・接続部の水密性・電気配線の容量と安全性などを検査します。特にジェットバスやミストサウナなどの特殊設備を導入する場合、既存の配管容量では不足する可能性があるため、事前の検討と適切な増強工事が必要です。また、省エネ設備やスマートホームシステムの配線は、将来の拡張性も考慮した設計とすることが大切です。

内装仕上げ工事では、素材の品質確認と施工精度のチェックが重要です。大理石フローリングや無垢材の施工では、目地の通り・表面の平滑性・継ぎ目の処理など、細部にわたる確認が必要です。

最終検査では、設備機器の動作確認、建具の開閉チェック、各所の寸法確認など、総合的な品質検査を実施します。セキュリティシステムやスマートホームの動作テスト、省エネ設備の性能確認なども含め、すべての機能が設計通りに作動することを確認します。引き渡し前に、クライアント立ち会いのもとで最終確認を行い、気になる点があれば引き渡し前に是正することが、後のトラブルを防ぐために重要です。

事例紹介:住宅リノベーション T-house(兵庫県姫路市)

ここまで解説してきた高級リノベーションにおける設計思想や素材選定、空間構成の考え方が実際の住まいでどのように具現化されているのかを、弊社の住宅リノベーション事例を通してご紹介します。

兵庫県姫路市に建つ住宅リノベーション T-houseは、社屋として使われていた建物を住宅へと全面改修したリノベーション事例です。既存棟を住空間として再構築すると同時に、敷地内にはシミュレーションゴルフ棟を離れとして新設し、暮らしと趣味を共存させる住まいが計画されました。

豪邸設計デザイン

■ プロジェクトの要点

  • 計画概要:社屋オフィスから住宅へのコンバージョンを伴うフルリノベーション計画
  • 規模:延床面積222.38㎡のゆとりある住宅スケール
  • 空間構成:吹き抜けを中心とした構成により、上下階を視覚的につなぐ開放的なリビングを形成
  • 素材計画:グレーを基調とした内外装に、ガラスや金属、木といった異素材を組み合わせたミニマルな設え
  • 付加価値:離れとしてシミュレーションゴルフ棟を増築し、日常と非日常が切り替わる空間体験を創出
  • 照明計画:間接照明を効果的に用いることで、陰影による奥行きと上質さを演出
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) 既存建物の構造を活かしながら住宅として再構成し、回遊性の高い動線と快適な居住性を両立
強(構造・合理性) フルリノベーションにより性能を更新し、長期的な居住に耐えうる住まいとして再生
美(美観) 素材の質感と光のコントラストを丁寧にコントロールし、住宅でありながらギャラリーのような静謐さを実現

住宅リノベーション T-houseは、高級リノベーションにおいて重要となる「空間の余白」「素材の選び方」「非日常性の取り込み」を高い次元で統合した事例です。設計によって暮らしの質そのものを引き上げ、住まいを単なる居住空間ではなく、人生の価値を高める場へと昇華させています。

まとめ

この記事では、高級リノベーションの費用相場から素材選び、施工プロセスまで、上質な住まいを実現するための実践的な知識を詳しく解説しました。高級リノベーションは単なる改修工事ではなく、資産価値の向上とライフスタイルの質を高める戦略的な投資です。適切な予算計画と素材選定、そして妥協のない品質管理によって、長期的な満足度と投資効果を両立させることができます。

日々多忙な業務を担われている皆様にとって、住まいは心身を整える大切な空間でもあります。デザイナーズリノベーションによって、ホテルライクな落ち着きのある空間を実現し、最新設備やスマートホームシステムを取り入れることで、日常の快適性を高めつつ資産価値の向上も期待できます。信頼できる設計事務所や施工会社とともに、計画的に進めることで理想の住まいづくりがより具体的になります。

「商業建築の設計は、ただ美しい箱を作りだすためのプロセスであってはならない。」というのが、私達KTXの考え方です。

より大きなベネフィットを生む建築を創り出し、投資に見合う利益を還元するビジネスツールを我々は設計しています。建築設計からインテリアの空間デザイン、グラフィックに至るまで、あらゆるデザインを一貫してコントロールすることであなたのビジネスに強力な付加価値を生み出します。もし、建築設計についてお悩みなのであれば、是非一度我々にご相談ください。

KTXアーキラボでは、上質な住まいを実現する高級リノベーションをご提案しております。お気軽にお問い合わせください。

弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2025.12.28


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本哲哉】

KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


【お問い合わせ先】

KTXアーキラボ一級建築士事務所

東京都港区南麻布3-4-5 エスセナーリオ南麻布002

兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F

事業内容

飲食店・クリニック・物販店・美容院などの店舗デザイン・設計

建築・内装工事施工

メール:kentixx@ktx.space

電話番号:03-4400-4529(代表)

ウェブサイト:https://ktx.space/


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中古マンション購入や既存住宅の価値向上を検討する際、単なる修繕ではなく「資産価値の最大化」と「上質な暮らし」を両立させる高級リノベーションが注目を集めています。経営者や病院理事長など決裁権を持つ方々にとって、住まいは単なる生活空間ではなく、ステータスや投資対象としての側面も持ちます。デザイナーズリノベーションによってホテルライクな空間を実現し、最新設備やスマートホームシステムを導入することで、長期的な満足度と資産価値を同時に高めることが可能です。

この記事では、高級リノベーションの費用相場から素材選び、施工プロセスまで、上質な住まいを実現するための実践的な知識を詳しく解説します。

高級リノベーションの費用

高級リノベーションを成功させるためには、適切な予算計画と費用の正確な把握が不可欠です。一般的なリフォームとは異なり、オーダーメイド設計や高品質素材の採用により費用は大きく変動します。ここでは、相場感や見積りの読み方、資金調達の方法について、実務的な視点から解説します。

高級リノベーションの相場と費用内訳

高級リノベーションの費用相場は、マンションの規模や設計内容によって大きく異なりますが、一般的には平米単価30万円から50万円程度が目安となります。100平米の高級マンションをフルリノベーションする場合、3,000万円以上の予算が必要になることも考えられるでしょう。この金額には、スケルトンリフォームによる間取り変更、ラグジュアリー内装の施工、ハイグレードキッチンなどの最新設備の導入が含まれます。

またインテリアコーディネートやオーダーメイド家具の製作、セキュリティシステムや省エネ設備の導入など、付加価値を高める要素を追加すると、さらに500万円から1,000万円程度の上乗せが発生します。デザイナーズリノベーションでは、空間全体の統一感と機能性を重視するため、既製品では満たせない要求に応えるためのコストが必然的に増加します。

予算オーバーを防ぐ見積りの読み方

高級リノベーションにおいて予算オーバーは珍しくありません。これを防ぐためには、見積書の詳細を正確に理解し、各項目の妥当性を判断する能力が求められます。見積書は「一式」という曖昧な表記ではなく、工事内容・使用素材・数量・単価が明確に記載されているものを求めることが大切です。特に「諸経費」や「現場管理費」などの項目については、その内訳と根拠を設計事務所や施工会社に確認することが重要です。

また高級リノベーションでは変更や追加が発生しやすいため、契約前に変更時の追加費用算定ルールを明文化しておくことが不可欠です。例えば、当初予定していた素材から別の高級素材に変更する場合、差額がどのように計算されるのか、施工途中での設計変更には追加費用が何%上乗せされるのかなど、具体的な取り決めを契約書に盛り込みます。

さらに、複数の設計事務所や施工会社から相見積もりを取得し、比較検討することも重要です。ただし、単純に総額の安さだけで判断するのではなく、提案内容の質・使用素材のグレード・アフターサービスの充実度なども総合的に評価する必要があります。高級リノベーションでは、長期的な満足度と資産価値向上を実現するために、適正な投資を行うという視点が求められます。

資金調達とローンや補助金の活用

高額な投資となる高級リノベーションでは、資金調達の方法も重要な検討事項です。自己資金のみで賄えない場合、リフォームローンや住宅ローンの借り換えを活用する選択肢があります。リフォームローンは無担保型と有担保型があり、無担保型は手続きが簡便ですが借入額の上限が低く金利も高めです。一方、有担保型は物件を担保にすることで高額融資が可能となり、金利も低く抑えられます。

中古マンション購入と同時にリノベーションを行う場合は、「購入費用+リノベーション費用」を一本化した住宅ローンを組むことで、金利負担を軽減できます。金融機関によっては、物件の資産価値の向上を評価して融資条件を優遇するケースもあります。特に、省エネ設備やセキュリティシステムの導入など、物件価値を高める要素が含まれている場合は、審査においてプラス要因となります。

また、一定の条件を満たす場合には、国や自治体の補助金・助成金制度を活用できる可能性があります。省エネルギー性能を向上させるリノベーション、耐震性能を強化する工事、バリアフリー化などには補助金が適用されることがあります。高級リノベーションにおいても、これらの要素を設計に組み込むことで、コスト負担を軽減しながら資産価値向上を図ることが可能です。ただし、補助金の申請には一定の手続きと審査期間が必要となるため、スケジュールに余裕を持って計画することが重要です。

高級リノベーションのデザインと素材選び

高級リノベーションにおいて、デザインと素材選びは空間の質を決定づける最も重要な要素です。単に高価な素材を使えば良いというものではなく、空間全体の調和・機能性・耐久性を考慮した総合的な判断が求められます。ここでは、ラグジュアリーな空間を実現するための具体的な原則と、素材選定のポイントについて解説します。

ラグジュアリーなデザインの基本原則

ホテルライクな高級感を実現するためには、いくつかの基本原則があります。まず空間の余白と開放感を重視したデザインです。スケルトンリフォームによって間取り変更を行い、不要な壁を撤去して視線の抜けを確保することで、広がりのある上質な空間が生まれます。天井高を活かした設計や、大きな開口部による採光計画も、ラグジュアリー内装の基本となります。

第二に、色彩計画の統一性が挙げられます。高級リノベーションでは、ベースカラー・アクセントカラー・ポイントカラーを明確に定義し、空間全体の調和を保ちます。一般的には、落ち着いたニュートラルトーンをベースに、天然素材の質感を活かした配色が好まれます。過度な装飾や多色使いは避け、洗練されたシンプルさの中に上質さを表現することが、真のラグジュアリーデザインの特徴です。

第三に、機能性とデザイン性の両立です。オーダーメイド設計では、見た目の美しさだけでなく、日常生活の利便性や動線の効率性も重視します。例えば、ハイグレードキッチンでは、調理機器の性能はもちろん、収納計画や作業スペースの確保、家事動線の最適化など、実用面での完成度が求められます。スマートホームシステムの導入においても、操作の直感性や生活スタイルへの適合性を考慮し、技術が空間に自然に溶け込むような設計が理想的です。

照明と仕上げで高級感をつくる方法

照明計画は、高級リノベーションにおいて最も効果的に空間の質を高める要素の一つです。一般的な住宅では天井の中央に一つのシーリングライトを配置する単純な照明計画が多いですが、ラグジュアリー内装では「多灯分散照明」という手法が用いられます。これは、複数の照明器具を組み合わせて、空間に陰影と立体感を創り出す技術です。

具体的には、以下のような照明レイヤーを構築します。

高級空間を演出する照明レイヤー構成
  • ベース照明:ダウンライトや間接照明で空間全体を均一に照らす基本照明
  • タスク照明:デスク・キッチンカウンター・洗面台など作業エリアの機能的照明
  • アクセント照明:アート作品・壁面・植栽などを照らし空間に奥行きを与える演出照明
  • 装飾照明:デザイン性の高いペンダントライトやシャンデリアなど空間の主役となる照明

調光機能や調色機能を持つスマートホーム対応の照明システムを導入することで、時間帯や用途に応じて照明環境を最適化できます。朝は爽やかな白色光で活動的に、夜は温かみのある電球色でリラックスした雰囲気を演出するなど、生活の質を高める柔軟な照明コントロールが可能になります。

また、仕上げの細部にこだわることも高級感の創出には欠かせません。壁と天井の取り合い部分に廻り縁を設ける、建具の枠材に重厚な無垢材を使用する、スイッチプレートやドアハンドルなどの金物類に真鍮や高級ステンレスを採用するなど、細部の質感が空間全体の印象を大きく左右します。これらの要素は個別には小さなコストアップですが、積み重ねることで他とは明確に差別化された上質な空間が実現します。

高級リノベーションの施工プロセス

高級リノベーションを成功させるためには、綿密な施工計画と品質管理が不可欠です。一般的なリフォームよりも工程が複雑で、オーダーメイド設計による特注品の製作や、高度な施工技術を要する作業が多く含まれます。ここでは、設計から引き渡しまでの具体的なプロセスと、品質を確保するためのポイントについて解説します。

設計から引き渡しまでの標準的な流れ

高級リノベーションのプロセスは、通常6ヶ月から12ヶ月程度の期間を要します。まず、初期相談から基本設計までの段階では、クライアントの要望を詳細にヒアリングし、ライフスタイルや価値観を理解した上で、空間コンセプトを構築します。この段階で、間取り変更の可能性や構造上の制約を確認し、大まかな予算感と工期の見通しを立てます。期間としては1ヶ月から2ヶ月程度が標準的です。

次に、実施設計の段階では、基本設計で確定したコンセプトをもとに、詳細な図面・仕様書を作成します。使用する素材の選定、設備機器の仕様決定、照明計画の詳細化、インテリアコーディネートの具体化など、施工に必要なすべての情報を確定させます。この段階では、サンプルを確認しながら最終的な素材や色を決定し、見積書の精度を高めます。実施設計には2ヶ月から3ヶ月程度を要することが一般的です。

工事段階では、まずスケルトンリフォームによる解体工事から始まります。既存の内装材や設備を撤去し、構造躯体の状態を確認します。この段階で予期せぬ劣化や不具合が発見されることもあり、追加補修が必要になる場合があります。その後、配管・配線などの設備工事、間取り変更に伴う建築工事、内装仕上げ工事、設備機器の設置工事と順次進行します。高級リノベーションでは、大理石フローリングの施工や無垢材の加工、オーダーメイド家具の製作など、高度な技術と時間を要する工程が含まれるため、工事期間は3ヶ月から6ヶ月程度を見込む必要があります。

工期とスケジュール管理のポイント

高級リノベーションにおいて、工期の遅延は珍しくありません。これを最小限に抑えるためには、計画段階からリスクを想定したスケジュール管理が重要です。まず、工事開始前に余裕を持った全体スケジュールを策定し、各工程の前後関係と所要日数を明確にします。特に、海外からの輸入素材や特注品の製作には予想以上の時間がかかることがあるため、早期発注と進捗確認が必要です。

施工中は、定期的な工程会議を開催し、進捗状況と課題を共有します。週次または隔週で設計者・施工管理者・クライアントが集まり、写真や図面をもとに進捗を確認し、必要に応じて調整を行います。特に、デザイナーズリノベーションでは、実際の施工状況を見ながら微調整が発生することが多いため、柔軟な対応力と迅速な意思決定が求められます。

工期遅延の主な要因と対策
  • 設計変更:契約前に設計内容を十分に検討し、施工開始後の変更を最小限に抑える
  • 特注品の製作遅延:製作期間に余裕を見込み、早期発注と進捗管理を徹底する
  • 天候不良:屋外工事や搬入作業に影響するため、予備日を設定しておく
  • 職人の手配:高度な技術を持つ職人は限られるため、早期に確保する
  • 検査・承認の遅れ:必要な届出や検査のスケジュールを事前に確認し、余裕を持って手配する

特に居住しながらのリノベーションではなく、仮住まいを確保して全面改修を行う場合、仮住まい期間の延長は追加コストにつながります。そのため、現実的なスケジュールと適切なバッファを設定し、確実な工程管理を行うことが重要です。

品質管理と検査で押さえるチェック項目

高級リノベーションでは、通常のリフォーム以上に厳格な品質管理が求められます。施工中の各工程で適切な検査を行い、問題があれば即座に是正することが、最終的な完成度を高めるために不可欠です。まず、スケルトン状態での構造検査では、躯体のひび割れ・鉄筋の錆・防水層の劣化など、構造的な問題がないかを確認します。この段階で発見された問題は、内装工事に入る前に必ず補修しておく必要があります。

配管・配線工事の段階では、給排水管の勾配・接続部の水密性・電気配線の容量と安全性などを検査します。特にジェットバスやミストサウナなどの特殊設備を導入する場合、既存の配管容量では不足する可能性があるため、事前の検討と適切な増強工事が必要です。また、省エネ設備やスマートホームシステムの配線は、将来の拡張性も考慮した設計とすることが大切です。

内装仕上げ工事では、素材の品質確認と施工精度のチェックが重要です。大理石フローリングや無垢材の施工では、目地の通り・表面の平滑性・継ぎ目の処理など、細部にわたる確認が必要です。

最終検査では、設備機器の動作確認、建具の開閉チェック、各所の寸法確認など、総合的な品質検査を実施します。セキュリティシステムやスマートホームの動作テスト、省エネ設備の性能確認なども含め、すべての機能が設計通りに作動することを確認します。引き渡し前に、クライアント立ち会いのもとで最終確認を行い、気になる点があれば引き渡し前に是正することが、後のトラブルを防ぐために重要です。

事例紹介:住宅リノベーション T-house(兵庫県姫路市)

ここまで解説してきた高級リノベーションにおける設計思想や素材選定、空間構成の考え方が実際の住まいでどのように具現化されているのかを、弊社の住宅リノベーション事例を通してご紹介します。

兵庫県姫路市に建つ住宅リノベーション T-houseは、社屋として使われていた建物を住宅へと全面改修したリノベーション事例です。既存棟を住空間として再構築すると同時に、敷地内にはシミュレーションゴルフ棟を離れとして新設し、暮らしと趣味を共存させる住まいが計画されました。

■ プロジェクトの要点

  • 計画概要:社屋オフィスから住宅へのコンバージョンを伴うフルリノベーション計画
  • 規模:延床面積222.38㎡のゆとりある住宅スケール
  • 空間構成:吹き抜けを中心とした構成により、上下階を視覚的につなぐ開放的なリビングを形成
  • 素材計画:グレーを基調とした内外装に、ガラスや金属、木といった異素材を組み合わせたミニマルな設え
  • 付加価値:離れとしてシミュレーションゴルフ棟を増築し、日常と非日常が切り替わる空間体験を創出
  • 照明計画:間接照明を効果的に用いることで、陰影による奥行きと上質さを演出
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) 既存建物の構造を活かしながら住宅として再構成し、回遊性の高い動線と快適な居住性を両立
強(構造・合理性) フルリノベーションにより性能を更新し、長期的な居住に耐えうる住まいとして再生
美(美観) 素材の質感と光のコントラストを丁寧にコントロールし、住宅でありながらギャラリーのような静謐さを実現

住宅リノベーション T-houseは、高級リノベーションにおいて重要となる「空間の余白」「素材の選び方」「非日常性の取り込み」を高い次元で統合した事例です。設計によって暮らしの質そのものを引き上げ、住まいを単なる居住空間ではなく、人生の価値を高める場へと昇華させています。

まとめ

この記事では、高級リノベーションの費用相場から素材選び、施工プロセスまで、上質な住まいを実現するための実践的な知識を詳しく解説しました。高級リノベーションは単なる改修工事ではなく、資産価値の向上とライフスタイルの質を高める戦略的な投資です。適切な予算計画と素材選定、そして妥協のない品質管理によって、長期的な満足度と投資効果を両立させることができます。

日々多忙な業務を担われている皆様にとって、住まいは心身を整える大切な空間でもあります。デザイナーズリノベーションによって、ホテルライクな落ち着きのある空間を実現し、最新設備やスマートホームシステムを取り入れることで、日常の快適性を高めつつ資産価値の向上も期待できます。信頼できる設計事務所や施工会社とともに、計画的に進めることで理想の住まいづくりがより具体的になります。

「商業建築の設計は、ただ美しい箱を作りだすためのプロセスであってはならない。」というのが、私達KTXの考え方です。

より大きなベネフィットを生む建築を創り出し、投資に見合う利益を還元するビジネスツールを我々は設計しています。建築設計からインテリアの空間デザイン、グラフィックに至るまで、あらゆるデザインを一貫してコントロールすることであなたのビジネスに強力な付加価値を生み出します。もし、建築設計についてお悩みなのであれば、是非一度我々にご相談ください。

KTXアーキラボでは、上質な住まいを実現する高級リノベーションをご提案しております。お気軽にお問い合わせください。

弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2025.6.30


松本哲哉氏の写真

【この記事を書いた人 松本哲哉】

KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


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KTXアーキラボ一級建築士事務所

東京都港区南麻布3-4-5 エスセナーリオ南麻布002

兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F

事業内容

飲食店・クリニック・物販店・美容院などの店舗デザイン・設計

建築・内装工事施工

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