オーダーメイド住宅のデザインとは?設計プロセスや失敗しないためのポイントを解説

 
     
  • 公開日:2025/12/13
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  • 最終更新日:2025/12/24

邸宅や別荘の建築を検討されている方々にとって、オーダーメイド住宅のデザインは、価値観や美意識、そして将来のビジョンを具現化するプロセスなのです。一つ一つの空間設計や素材選びにこだわることで、家族のライフスタイルや個性に合わせた、理想的な住まいづくりが可能となる点も大きな魅力です。

この記事では、オーダーメイド住宅のデザインの本質から具体的な設計プロセス、そして失敗しないための実践的なポイントまで詳しく解説していきます。

豪邸設計

オーダーメイド住宅のデザインの基本と魅力

オーダーメイド住宅のデザインは、住まい手の個別ニーズに応じて一から設計される住宅の総合的な計画を指します。このセクションでは、その基本的な定義から他の住宅形態との違いまでを明確にしていきます。

オーダーメイド住宅デザインとは

オーダーメイド住宅のデザインとは、建築主の要望やライフスタイル、敷地条件、予算などを総合的に考慮しながら、建築家や設計士が一つひとつ独自に設計する住宅のことを指します。既製品のような規格化された間取りやデザインではなく、施主の個性や価値観を空間に投影する唯一無二の創造プロセスが特徴です。

オーダーメイド住宅デザインの最大の魅力は、自由度の高さにあります。間取りや動線はもちろん、素材の選定、照明計画、収納設計、さらには家具や造作に至るまで、すべてをあなたの理想に合わせて調整できます

また、オーダーメイド住宅のデザインでは、敷地の特性を最大限活かすことができます。変形地や狭小地、傾斜地といった一般的には建築が難しい土地でも、設計の工夫によって魅力的な住空間を生み出せるのです。景観や採光、風通し、プライバシーの確保など、その土地ならではの条件を丁寧に読み解き、最適なデザインを導き出します。

規格住宅との違いと選ぶべき理由

規格住宅とオーダーメイド住宅の大きな違いは、設計の自由度と個別性にあります。規格住宅は、あらかじめ用意されたプランの中から選択する方式で、コストや工期の面では優位性がありますが、細かなニーズへの対応には限界があります。一方、オーダーメイド住宅は初期段階から設計に関与できるため、あなたの生活習慣や美意識、将来の家族構成の変化まで見据えた計画が可能です。

決裁権を持つ立場の方々がオーダーメイド住宅を選ぶべき理由は、投資対効果の高さにあります。規格住宅では実現できない独自性のある空間は、資産価値の維持・向上にも寄与します。また、生活の質を高めることで、仕事のパフォーマンス向上や家族の満足度向上といった無形の価値も生み出されます。

規格住宅とオーダーメイド住宅の比較
項目 規格住宅 オーダーメイド住宅
設計自由度 限定的(プラン選択) 高い(完全自由設計)
工期 短い(4〜6ヶ月) 長い(8〜12ヶ月以上)
コスト 比較的抑えられる 設計内容により変動
個別対応 限定的 すべてカスタマイズ可能
敷地適応性 制約がある 柔軟に対応可能
資産価値 一般的 独自性により高くなる可能性

さらに、オーダーメイド住宅のデザインでは、建築家との対話を通じて、自分では気づかなかった新たな価値観や美的感覚を発見できる点も大きな魅力です。プロフェッショナルの視点から提案される空間構成や素材選定は、あなたの想像を超える豊かな住環境を創出します。この創造的なプロセス自体が、オーダーメイド住宅ならではの体験価値と言えるでしょう。

豪邸デザイン

オーダーメイド住宅の設計プロセス全体像

オーダーメイド住宅のデザインを成功させるには、設計プロセス全体を理解し、各段階での重要大切な意思決定を適切に行うことが不可欠です。ここでは、初期段階から竣工までの流れを詳しく見ていきましょう。

初期ヒアリングから基本設計までの流れ

オーダーメイド住宅の設計は、設計事務所との初期ヒアリングから始まります。ここではライフスタイル、家族構成、趣味、予算、住まいへの価値観を共有します。建築家は対話を通じ、潜在的なニーズも引き出します。ヒアリングでは、生活動線、来客頻度、趣味スペースの必要性、将来の家族構成、収納量、デザイン嗜好などを話し合います。同時に敷地調査で法規制や日照条件、眺望も確認します。

次に基本構想の提案です。複数のコンセプトをスケッチやイメージボードで提示し、空間の大枠や配置、デザイン方向を共有します。この段階でのフィードバックが設計全体に影響します。基本構想確定後、基本設計に入ります。平面図・立面図・断面図を作成し、間取り、天井高、開口部の位置などを具体化。構造方式や仕上げ材料、設備の基本仕様も決定します。通常2〜3ヶ月で複数回打ち合わせを重ね、細部を詰めていきます。

基本設計段階で決定する主な項目
  • 各部屋の配置と面積
  • 動線計画と空間のつながり
  • 外観デザインの基本コンセプト
  • 構造形式(木造・鉄骨造・RC造など)
  • 主要仕上げ材料の方向性
  • 設備システムの基本方針
  • 概算工事費の算出

実施設計から竣工までの重要ポイント

基本設計が承認されると、実施設計の段階に進みます。実施設計では、施工に必要なすべての詳細情報を図面化していきます。構造図、設備図、展開図、建具表、仕上げ表など、数十枚から場合によっては100枚を超える詳細図面が作成されます。この段階で、コンセントやスイッチの位置、照明器具の選定、収納の内部仕様、細かな造作デザインなど、生活に直結する詳細が決定されます。

実施設計では、構造設計者や設備設計者といった専門技術者も参加し、建築基準法をはじめとする各種法規に適合しているか、構造的に安全か、設備システムが適切に機能するかなどを検証します。また、この段階で正確な工事費の見積もりが行われ、予算との調整が必要になる場合もあります。実施設計には通常3〜4ヶ月を要します。

実施設計完了後、建築確認申請を行います。これは法的に建築が可能であることを行政に確認してもらう手続きで、通常1〜2ヶ月かかります。確認済証が交付されて初めて、着工が可能になります。その間に、施工会社の選定と契約を進めます。オーダーメイド住宅では、設計事務所が推薦する信頼できる施工会社と契約するケースが多く、設計者が工事監理者として品質管理を行います。

着工後は、基礎工事、躯体工事、仕上げ工事と段階的に進行します。オーダーメイド住宅のデザインでは、工事中も定期的に現場を訪れ、図面通りに施工されているか、素材の質感や色味が想定通りか、変更が必要な点はないかなどを確認します。特に、造作家具や特注の建具、素材感が重要な仕上げ材などは、実物を見ながら最終調整することが推奨されます。

工事段階での施主の関わり方
  • 月1〜2回の定例会議への参加
  • 重要な工程での現場立会い
  • 素材サンプルの最終確認
  • 照明器具や設備機器の実物確認
  • 造作家具の製作途中での確認
  • 竣工前の最終チェック

工事期間は規模や構造にもよりますが、一般的な住宅で6〜10ヶ月程度です。竣工時には、設計者と施工者が立ち会いのもと、施主検査を実施します。この検査で指摘された不具合は是正され、問題がなければ引き渡しとなります。引き渡し後も、設計事務所によるアフターフォローが続くことが一般的で、住み始めてから気づいた改善点などにも対応してもらえます。

デザイン住宅

事例紹介:住宅リノベーション T-house(兵庫県姫路市)

住宅リノベーション T-house(兵庫県姫路市)の事例を通して、オーダーメイド住宅設計がどのように具体化されるのかを見ていきましょう。

豪邸設計デザイン

■ プロジェクトの要点

  • コンセプト:社屋オフィスを住宅へとリノベーションし、非日常の開放感を日常の中に取り込む住空間を創出
  • 空間構成:吹き抜けを中心に上下階を一体化。リビング・ダイニング・ホールをシームレスにつなぐことで、光と風が流れる立体的空間を形成
  • 素材と意匠:グレーを基調とした落ち着きのある内装に、ガラス・金属・木といった異素材を調和。上質でモダンな印象を演出
  • 照明計画:間接照明とスポットライトを組み合わせ、陰影による立体感と時間帯ごとの雰囲気変化を演出
  • 付帯棟:敷地内にシミュレーションゴルフ棟を増築し、趣味と暮らしを融合させた新しい住宅スタイルを提案
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) オフィス構造を住宅用途に最適化し、生活動線と快適性を両立。吹き抜けが視線と空気をつなぐ開放的な住環境を実現
強(構造・耐久性) 既存構造を補強し、耐震性と断熱性を高めることで、長期利用を前提とした堅牢な住宅へと再構築
美(美観) 光の入り方と素材の質感を計算し、ホテルライクな落ち着きと温かさを共存させたデザイン

「T-house」は、KTXアーキラボが得意とする“機能美とデザイン美の融合”を体現した住宅です。
吹き抜けを中心とした構成や素材の質感コントロールなど、細部に至るまで設計者の思想が貫かれており、
オーダーメイド住宅の理想形—「生活と感性をデザインでつなぐ空間」を具現化した好例といえます。

オーダーメイド住宅デザインで失敗しないための注意点

オーダーメイド住宅のデザインは大きな投資であり、失敗は許されません。このセクションでは、実際によくある失敗事例と、それを回避するための具体的な方策を解説します。

よくある失敗事例とその回避策

オーダーメイド住宅のデザインで特に多い失敗は、見た目の美しさを優先しすぎて機能性を犠牲にしてしまうことです。雑誌やSNSで見たデザイン性の高い空間に憧れ、実際の生活動線や使い勝手を十分に検討しないまま設計を進めてしまうケースが少なくありません。

これらの失敗を回避するには、設計段階での綿密なシミュレーションが不可欠です。図面だけでなく、3Dモデルやバーチャルリアリティを活用して、実際にその空間で生活する場面を具体的にイメージしましょう。朝起きてから夜寝るまでの動線を一つひとつ確認し、家事の流れ、来客時の動き、季節ごとの過ごし方など、できるだけ多くのシナリオで検証することが重要です。

デザイン失敗を防ぐチェックリスト
  • 実際の生活動線を図面上でシミュレーションしたか
  • 必要な収納量を具体的に計算し確保したか
  • 冷暖房・換気計画は適切に検討されているか
  • 将来の家族構成変化に対応できる柔軟性があるか
  • メンテナンスのしやすさを考慮しているか
  • 採光と視線の関係(プライバシー)を確認したか
  • 音の伝わり方や遮音性を検討したか
  • 家具や家電の配置スペースは十分か

また、予算超過も良くある失敗として挙げられます。設計を進める中で「これも実現したい」「あれも追加したい」と要望が膨らみ、気づけば当初予算を大幅に超過していたというケースは非常に多いです。特にオーダーメイド住宅では、選択肢が豊富なだけに歯止めが効かなくなりがちです。

予算超過を防ぐには、最初の段階で「絶対に譲れない要素」と「できれば実現したい要素」を明確に区別し、優先順位をつけておくことが重要です。そして、基本設計の段階で概算見積もりを取り、実施設計に入る前に予算内に収まることを確認します。実施設計中も、仕様変更のたびにコストへの影響を確認し、累積の変更額を把握しておくことで、最終的な予算オーバーを防げます。

設計事務所選びで見極めるべき要素

オーダーメイド住宅のデザイン成功の鍵は、適切な設計事務所選びにあります。どんなに明確なビジョンがあっても、それを実現できる設計者と出会えなければ、理想の住まいは生まれません。設計事務所選びは、慎重に、しかし直感も大切にするべきプロセスです。

まず確認すべきは、その設計事務所の実績とデザイン傾向です。ウェブサイトや作品集で過去の事例を確認し、自分の好みや価値観に合うデザインをしているか見極めましょう。ただし、単にデザインの好みだけでなく、その事務所が得意とする建築タイプや規模、予算帯が、あなたのプロジェクトに適合しているかも大切です。高級住宅専門の事務所に中規模予算の案件を依頼しても、お互いにとって最良の結果にならない可能性があります。

次に重視すべきは、コミュニケーション能力です。初回の相談時の対応、質問への答え方、提案の説明の分かりやすさなどから、設計者のコミュニケーションスタイルを観察しましょう。優れた建築家は、専門用語を使わずに分かりやすく説明でき、あなたの言葉にならない要望を引き出す傾聴力も持っています。また、予算やスケジュールといった現実的な制約条件にも誠実に向き合う姿勢があるかも見極めポイントです。

設計事務所選定の評価ポイント
評価項目 確認方法 重要度
過去の実績 ポートフォリオ、竣工事例の見学
デザイン傾向 作品の一貫性と多様性のバランス
コミュニケーション力 初回相談時の対応、説明の分かりやすさ
予算管理能力 過去案件での予算コントロール実績
技術力 構造・設備の専門知識、法規対応力
工事監理体制 現場への関与度合い、検査体制
アフターフォロー 引き渡し後のサポート体制

技術的な能力も見逃せません。美しいデザインを描けるだけでなく、構造的に安全で、設備が適切に機能し、法規制をクリアした実現可能な設計ができるかが重要です。特に、変形地や傾斜地、狭小地などの難しい条件下での設計経験があるか、環境配慮や省エネルギー設計の知識があるかなども確認しましょう。これらは、竣工後の住み心地や維持費に直結する要素です。

まとめ

この記事では、オーダーメイド住宅のデザインの本質から、設計プロセスの全体像そして失敗を避けるための注意点まで詳しく解説してきました。オーダーメイド住宅のデザインは、あなたの価値観やライフスタイルを空間に投影する創造的なプロセスであり、規格住宅では実現できない唯一無二の住まいを生み出します。

設計プロセスは初期ヒアリングから竣工まで長期にわたりますが、各段階で適切な意思決定を行い、設計者との綿密なコミュニケーションを保つことで、理想の住空間を実現できます。あなたの理想の住まいづくりが、人生を豊かにする素晴らしい体験となることを願っています。

「商業建築の設計は、ただ美しい箱を作りだすためのプロセスであってはならない。」というのが、私達KTXの考え方です。

より大きなベネフィットを生む建築を創り出し、投資に見合う利益を還元するビジネスツールを我々は設計しています。建築設計からインテリアの空間デザイン、グラフィックに至るまで、あらゆるデザインを一貫してコントロールすることであなたのビジネスに強力な付加価値を生み出します。もし、建築設計についてお悩みなのであれば、是非一度我々にご相談ください。

KTXアーキラボでは、ご要望に応えたオーダーメイド住宅のデザインをご提案しております。お気軽にお問い合わせください。

弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2025.12.13


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本哲哉】

KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


【お問い合わせ先】

KTXアーキラボ一級建築士事務所

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兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F

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飲食店・クリニック・物販店・美容院などの店舗デザイン・設計

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