おしゃれなオフィス内装の作り方|企業ブランドを高める空間デザインのポイントを紹介

 
     
  • 公開日:2025/11/30
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  • 最終更新日:2025/12/02

企業の成長戦略において、オフィス環境の質は無視できない要素となっています。従業員が日々過ごす空間の設計は単なる「働く場所」の提供ではなく、企業文化の体現であり、ブランド価値を伝える最前線です。優れたオフィスの内装は社員のモチベーションを高め、生産性を向上させるだけでなく、取引先や求職者に対して企業の本質を雄弁に語ります。

この記事では、経営視点からオフィスの内装を戦略的に設計するための具体的な方法と、空間デザインが企業価値に与える影響について詳しく解説します。

社屋設計 オフィスデザイン

オフィスの内装の目的と効果

オフィスの内装への投資は、単なるコストではなく企業の競争力を左右する重要なポイントです。適切に設計された空間は多面的な効果をもたらし、長期的な事業成長に貢献します。ここでは、オフィス環境が企業に与える本質的な価値について掘り下げます。

生産性と社員満足を高める

優れたオフィスの内装が生産性に与える影響は、定量的に測定可能な経営指標として現れます。照明計画一つをとっても、自然光を最大限に活用しつつ、タスク照明を適切に配置することで、眼精疲労を軽減し、集中力の持続時間を延ばすことができます。ある調査では、照明環境を改善した企業において、作業効率が15%向上したという報告もあります。

空調システムと連動した温度・湿度管理、遮音性能の高い素材選び、人間工学に基づいた家具選びなど、快適性を科学的にデザインする姿勢が、社員のパフォーマンスを最大化します。リフレッシュスペースの設置も、単なる福利厚生ではなく、創造性を高めるための戦略的投資です。短時間の休憩が、問題解決能力やアイデア創出に寄与することは、認知科学の分野でも実証されています。

事例紹介:集中と安らぎを両立する学習環境(Pure Semicircles)

Pure Semicircles の事例は、学習塾の内装という教育空間でありながらオフィスにおける生産性(集中)と社員満足(安らぎ)の向上に通じるデザイン戦略を示しています。

■ プロジェクトの要点

  • コンセプト:学生の五感を刺激しながら快適かつリラックスできる学習環境を追求
  • 形態と素材:中央のカウンターは緑化により視界をコントロールし、集中と安らぎを両立
  • 名称と象徴性:半円型の受付空間を鏡で正円化、水面のような天井で円い水槽の底にいるような不思議な感覚を生む
「用・強・美」で見る価値
用(機能性) 緑化による視界コントロールで、集中力を高めつつリラックスできるという、相反する空間機能を両立
強(構造・耐久性) 内装工事として2ヶ月という工期で実現
美(美観) 半円、鏡、水面といった要素によるユニークな空間演出が、企業の先進性を象徴

企業イメージと採用力を高める

エントランスデザインは、企業の「顔」として、訪問者に最初の印象を与える重要な接点です。洗練されたデザインと企業理念を体現した空間構成は、取引先や投資家に対して、企業の成熟度と先進性を無言で伝えます。コーポレートカラーを効果的に配置し、ブランドストーリーを空間に織り込むことで、言葉以上の説得力が生まれます。

採用市場における競争が激化する中、オフィス環境は求職者の意思決定に大きく影響します。特に若い世代にとって、働く空間の質は給与と同等かそれ以上に重視される要素です。開放的で創造性を刺激する空間、多様な働き方に対応した柔軟なレイアウト、最新のテクノロジーを活用した設備など、未来志向のオフィスの内装は採用競争における差別化要因となります。

また企業文化を可視化するインテリアコーディネートは、組織のアイデンティティを強化します。例えば、イノベーションを重視する企業であれば固定席を設けないフリーアドレス制を採用し、偶発的なコミュニケーションを促す動線設計を施すことで、その価値観を空間に反映できます。オフィス見学が採用プロセスの一部として機能し、企業の真の姿を伝えるツールとなるのです。

オフィス環境が企業に与える効果
効果領域 具体的な成果 測定指標
生産性向上 作業効率の改善、集中力持続 タスク完了時間、エラー率
社員満足度 離職率低下、エンゲージメント向上 従業員満足度調査スコア
ブランド価値 企業イメージ向上、信頼性獲得 顧客評価、メディア露出
採用力強化 応募者数増加、採用コスト削減 応募倍率、内定承諾率

オフィスの内装の計画とデザインの基本

戦略的なオフィスの内装のプロジェクトは、明確なコンセプトと緻密な計画から始まります。表面的な美しさだけを追求するのではなく、企業の本質を理解し、長期的な視点で空間を設計する姿勢が求められます。ここでは、計画段階で押さえるべき核心的なポイントを解説します。

社員の声を反映したコンセプト作り

効果的なオフィスデザインは、経営陣の一方的な意思決定ではなく、実際に空間を使用する社員の声を起点とすべきです。ヒアリングやアンケート調査を通じて、現在の不満点、理想的な働き方、必要な機能を丁寧に収集します。営業部門は顧客との打ち合わせスペースを重視し、開発部門は集中できる静かな環境を求めるなど、部門ごとに異なるニーズを把握することが重要です。

収集したデータを分析し、優先順位をつけながら、全社的な一貫性を保ちつつ個別ニーズに応える設計思想を構築します。この段階で、経営理念やビジョンとの整合性を確認し、単なる要望の寄せ集めではなく、企業文化を強化するコンセプトへと昇華させます。例えば、「オープンコミュニケーション」を重視する企業であれば、壁を減らし、視線が通る透明性の高い空間構成を基本方針とします。

また、将来の組織変更や事業拡大を見据えた柔軟性も設計に組み込みます。モジュラー家具の採用や、配線・配管の拡張性確保など、変化に対応できる「成長する空間」を意識した計画が、長期的なコスト最適化につながります。プロジェクトの初期段階から専門の空間デザイナーを巻き込み、経営戦略とデザインを融合させることが成功の鍵です。

素材と色で快適性と印象を作る

素材選びは、空間の質感と機能性を決定づける重要な要素です。床材一つをとってもカーペットタイルは遮音性と快適性に優れる一方、メンテナンスコストがかかります。フローリングは清潔感と開放感を演出しますが、防音対策が必要になります。執務エリア、会議室デザイン、リフレッシュスペースなど、用途に応じた最適な素材の組み合わせが求められます。

壁面の素材選びも音響特性や視覚的効果を考慮します。吸音パネルの戦略的配置は、オープンな空間における会話の漏れを防ぎ、集中環境と協働環境を同一フロアで両立させます。天然木や石材などの自然素材は、温かみと高級感を演出し、企業の品格を視覚的に伝えます。ただし、エコフレンドリーな素材選びは、単なる環境配慮のポーズではなく、持続可能性を重視する企業姿勢の証として、ステークホルダーに評価されます。

色彩計画は、心理的効果を科学的に活用する分野です。コーポレートカラーを基調としつつ、エリアごとに適切な色を配置します。集中が必要な執務エリアには青系の落ち着いた色を、創造性を刺激したい会議室には適度な暖色を、リラックスを促すリフレッシュスペースには緑系の色を採用するなど、色彩心理学に基づいた戦略的配色が空間の機能を最大化します。照明との相互作用も考慮し、時間帯や用途に応じて空間の表情を変化させる仕掛けも効果的です。

空間用途別の素材・色彩選定指針
  • 執務エリア:遮音性の高いカーペットタイル、青系の集中を促す色彩、調光可能な照明計画
  • 会議室:吸音パネル、ホワイトボード機能を持つ壁面、柔軟な家具配置が可能な床材
  • エントランス:耐久性と高級感を両立する石材、コーポレートカラーの効果的配置
  • リフレッシュスペース:温かみのある木材、緑系の癒しカラー、観葉植物との調和
  • 廊下・共用部:メンテナンス性の高いフローリング、動線を示す色彩配置

オフィスの内装のレイアウトと施工管理

設計コンセプトを現実の空間に落とし込む段階では、動線設計と施工品質の管理が成否を分けます。図面上では完璧に見えるレイアウトも、実際の人の動きや業務フローとの整合性がなければ機能しません。ここでは、実践的なレイアウト設計と、施工段階で注意すべきポイントを詳しく説明します。

執務エリアで集中と協働を両立する

現代のオフィスレイアウトは、個人の集中作業とチームでの協働作業の両方を支援する必要があります。

効果的なアプローチの一つは、「ゾーニング」による機能分化です。静かな集中ゾーン、活発な議論を許容するコラボレーションゾーン、電話や短時間の打ち合わせ用のセミプライベートゾーンを明確に区分します。動線設計においては人の流れが集中作業エリアを横切らないよう配慮し、自然な動きの中で偶発的なコミュニケーションが生まれる「出会いの場」を意図的に配置します。

家具選びも、柔軟性と機能性を重視します。高さ調整可能なデスク、用途に応じて組み替え可能なモジュール家具など、変化に対応できる可変性の高い設備投資が、長期的なコストパフォーマンスを高めます。また、パーソナルスペースと共有スペースのバランスも重要で、個人が所有する収納スペースを確保しつつ、全体としては開放的な印象を維持する設計が理想的です。

最新のオフィスの内装工事では、IoT技術の活用も進んでいます。センサーによる在席管理システム、会議室の利用状況可視化、空調・照明の自動制御など、テクノロジーを活用した効率化が、働きやすさと経営効率の両立を実現します。ただし、技術導入の目的は監視ではなく、社員がより快適に働ける環境の提供であることを明確にし、信頼関係を損なわない運用が不可欠です。

エントランス・会議室・リフレッシュスペースの設計ポイント

エントランスデザインは、企業の第一印象を決定づける最重要エリアです。受付から待合スペースまでの動線を意識し、訪問者が迷わず、かつ企業の世界観に自然に引き込まれる空間構成を目指します。ブランドイメージを体現するアートワークや企業の歴史を伝える展示、受賞歴や主要プロジェクトの紹介など、空間を通じたストーリーテリングが効果的です。照明計画も重要で、日中は自然光を活かしつつ、夕方以降は温かみのある照明で落ち着いた雰囲気を演出します。

会議室デザインは、用途の多様化に対応する必要があります。大人数の正式なプレゼンテーション用、少人数のブレインストーミング用、オンライン会議に特化した設備を持つ部屋など、複数のタイプを用意します。音響設計は特に重要で、隣接する会議室への音漏れを防ぎつつ、室内では明瞭な音声が全員に届くよう、吸音材と反射材のバランスを調整します。最新の映像・音響設備の導入も検討し、リモート参加者が不利を感じないハイブリッド会議環境を整備します。

リフレッシュスペースは、単なる休憩場所ではなく、創造性を刺激し、部門を超えた交流を促進する戦略的空間です。カフェスタイルのカジュアルな雰囲気、多様な座席オプション(ソファ、カウンター、テラス席など)、観葉植物や自然光を取り入れたバイオフィリックデザインなど、オフィスとは異なる「第三の場所」としての性格を持たせます。軽食や飲料の提供設備も、社員の満足度を高める重要な要素です。

施工管理においては、工期とコストの厳密な管理が不可欠です。オフィスの内装工事は通常業務への影響を最小限に抑える必要があり、夜間・休日施工や段階的な移転など、綿密なスケジュール調整が求められます。施工事例を豊富に持つ専門業者の選定、定期的な品質チェック、想定外のトラブルへの迅速な対応など、プロジェクトマネジメントの質が最終的な満足度を左右します。竣工後の運用サポートや、使用開始後のフィードバック収集・改善提案まで含めた長期的なパートナーシップを築くことが理想的です。

主要エリアの設計チェックリスト
  1. エントランス:ブランド表現の明確性、動線の分かりやすさ、待機時の快適性、セキュリティとの両立
  2. 執務エリア:集中と協働のバランス、柔軟性のある家具配置、適切な照明・空調計画、収納スペースの確保
  3. 会議室:用途別の部屋タイプ、優れた音響環境、最新の設備機器、予約システムとの連動
  4. リフレッシュスペース:リラックスできる雰囲気、多様な座席オプション、飲食設備の充実、観葉植物の配置
  5. 共用部:直感的な動線設計、適切なサイン計画、バリアフリー対応、非常時の安全確保

まとめ

この記事では、オフィスの内装を企業の競争力強化のための戦略的投資として捉え、生産性向上や採用力強化といった具体的な効果から、コンセプト作り、素材・色彩選定、レイアウト設計、施工管理に至るまでの実践的なポイントを解説しました。優れた空間デザインは、従業員の働きやすさを高めるだけでなく、企業文化を体現し、ブランド価値を高める強力なツールとなります。

経営者の皆様には、オフィス環境への投資を単なるコストではなく、人材と企業価値への投資として位置づけ、長期的な視点での意思決定をしていただきたいと考えます。適切に設計されたオフィスは社員のエンゲージメントを高め、優秀な人材を惹きつけ、結果として持続的な企業成長を支える基盤となるでしょう。

「商業建築の設計は、ただ美しい箱を作りだすためのプロセスであってはならない。」というのが、私達KTXの考え方です。

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KTXアーキラボでは、企業ブランドを高めるおしゃれなオフィスの内装をご提案しております。お気軽にお問い合わせください。

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2025.11.30


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本哲哉】

KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


【お問い合わせ先】

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