建築家と建築デザイナーの違いとは?

 
     
  • 公開日:2025/04/21
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  • 最終更新日:2025/04/21

建築家と建築デザイナーの違いとは?

私たちKTXアーキラボは、東京都港区と兵庫県姫路市に拠点を構える建築設計事務所として、これまで多様な空間の設計に携わってきました。その中でよくいただくご質問のひとつが、「建築家と建築デザイナーの違い」についてです。

一見似ているように思えるこの二つの呼称ですが、実はその背景には考え方やスタンスの違いがあります。今回は、当事務所の視点からこの違いを紐解いてみたいと思います。


■ どちらも“建築を設計する者”だが…

まず大前提として、建築家・建築デザイナーのいずれも建築の設計に携わる立場であり、法的に設計・監理業務を行うには、一級建築士などの資格が必要です。

つまり、職能的には共通する部分が多いのですが、その役割や思想、アプローチの仕方には明確な違いがあります。


■ 建築家とは:思想と文化性をもった創造者

建築家とは、単に建物を設計するだけでなく、建築を通じて社会や文化に対して何らかの“問い”を投げかける存在です。自らの美学や哲学をもとに建築を芸術的・文化的な次元にまで昇華させようとする「作家的な建築の在り方」が特徴です。

社会的背景、都市との関係性、未来へのビジョン。そうした大きな文脈の中で、建築家は空間を“表現”します。


■ 建築デザイナーとは:課題を翻訳し、最適解を導く編集者

一方で建築デザイナーは、クライアントのニーズや課題を汲み取り、それにふさわしいかたちで空間を設計していく「翻訳者」あるいは「編集者」のような存在です。

ブランドの世界観を空間でどう体現するか。来院者にどのような印象を与えるか。こうした視点から空間を設計し、機能性・快適性・美しさを高いレベルで融合させていくのが、建築デザイナーの役割です。


■ 表現か、最適化か——その両立がKTXアーキラボの強み

私たちは、建築家としての創造的な視点と、建築デザイナーとしての課題解決型の思考の両方を兼ね備えることを重視しています。

たとえば医療施設においては、患者の安心感と医療スタッフの動線を両立させながら、同時にそのクリニックが地域にどのような印象を与えるべきかを空間に込めます。
また、企業のオフィスや店舗においては、ブランドの個性が一目で伝わるような象徴的空間を設計する一方で、運用や成長に応じた柔軟性も備えさせます。

このように、建築家の視座と、建築デザイナーの思考を融合させた設計アプローチこそ、KTXアーキラボの空間づくりの核となっています。


■ まとめ

 

項目 建築家 建築デザイナー
資格 一級建築士など(必要) 一級建築士など(必要)
志向 表現・思想・文化性の追求 課題解決・最適化・体験価値
スタンス 自らの哲学で建築を創造する 他者の想いやブランドを翻訳する
空間の捉え方 建築=芸術・社会的表現 建築=機能と美の最適解

空間に何を求めるかによって、アプローチは変わります。
私たちKTXアーキラボは、クライアントの理念や想いを建築に昇華させるパートナーとして、常に“表現”と“最適化”の両立を追求しています。

▶️弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2025.4.21


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


お問い合わせ

建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所

本社:兵庫県姫路市船丘町299-2-2F

東京オフィス:港区南麻布3-4-5-002

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