病院経営の深刻化とブランディングの重要性──空間デザインがもたらす経営支援の可能性

 
     
  • 公開日:2025/03/24
  •  
  • 最終更新日:2025/03/24

病院経営の深刻化とブランディングの重要性──空間デザインがもたらす経営支援の可能性

先日、読売新聞が報じた日本病院会など病院関係6団体の緊急調査結果によると、2024年度の診療報酬改定後に病院がより深刻な経営難に陥っていることが明らかになりました。調査では、経常利益が赤字の病院が61.2%にのぼり、前年同期(50.8%)から10.4ポイントも増加したとのこと。物価や人件費などのコスト上昇に対して、医業収益の伸びが追いつかない構造的な問題が浮き彫りになっています。

このままでは地域の医療機関が突然なくなってしまう可能性がある――。日本医師会をはじめとする団体は深刻な危機感を表明しています。患者さんや地域にとって不可欠な病院やクリニックを持続的に運営していくためには、収益を上げるための抜本的な経営戦略が求められます。その中でも、**「ブランディング」や「デザインによるイメージ戦略」**は、医療経営を支える大きなカギとなり得ます。


患者満足度と信頼度を高める「空間ブランディング」

医療機関が差別化を図るための手段の一つに、空間デザインを活用したブランド戦略があります。病院やクリニックは「病を治す場所」という機能的価値だけでなく、患者さんやスタッフがストレスなく滞在できる「快適性」「安心感」「信頼感」などの情緒的価値も大切にしなければなりません。

▶️弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

  • デザインによる印象アップ
    患者さんが施設に入った瞬間から受ける印象は、クリニックや病院のブランドイメージに直結します。清潔感・温かみ・先進性などの要素を空間設計で適切に表現することで、「またここに来たい」と思ってもらえる雰囲気を作ることができます。

  • スタッフの働きやすさ向上
    医療スタッフが気持ちよく働ける空間づくりも重要です。医療者の職場環境が改善されることで離職を防ぎ、結果的に医療サービスの質や病院の評判向上につながります。

  • 地域との結びつき強化
    病院そのものが地域のシンボル的存在になることで、地元の人々にとって身近で信頼できる空間へと認知が高まります。見た目のデザインだけでなく、サイン計画や動線計画など、地域住民の利用を念頭に置いたデザイン戦略が欠かせません。


経営支援としての「空間・ブランド戦略」をどのように進めるか

病院経営を改善するためには、単に施設を新しくリニューアルするだけでなく、経営視点を踏まえた包括的なアプローチが必要です。そこで鍵となるのが、ブランディングと建築設計を融合させたデザイン戦略です。

▶弊社の医院ブランディング戦略についてはコチラの動画で解説しています。

『クリニックデザイン 豪華なだけ・オシャレなだけでいいの?』

  1. 経営目標の整理
    まずは現状の課題と目標を明確化し、「どのような病院・クリニックになりたいのか」を経営陣・スタッフ全員で共有します。例えば「患者満足度を高めたい」「採用力を上げたい」「地域密着型のイメージを強化したい」など、具体的な目標設定が大切です。

  2. ブランドコンセプトの構築
    目標達成に必要なブランドの方向性を策定します。院長先生の診療ポリシーや地域特性、対象となる患者層に合わせ、「安心・快適」「先進的・洗練」「地域密着・親しみやすい」など、施設が伝えたいメッセージを明確化します。

  3. 設計・デザインへの落とし込み
    ブランドコンセプトが定まったら、建築デザイン・内装・サイン計画などに反映します。患者さんやスタッフの動線、ホスピタリティ、採光や素材の選定など、空間を通じてどのような体験を提供できるかを考え抜くことが重要です。

  4. 運営後の評価と改善
    完成後も、患者さん・スタッフの声や経営指標を踏まえながら継続的に評価・改善を行います。例えば利用者アンケートやスタッフアンケートを定期的に実施し、問題点を早期に把握して柔軟に対処することが理想です。


KTXアーキラボ一級建築士事務所が提供するサポート

私たちKTXアーキラボ一級建築士事務所は、東京都港区と兵庫県姫路市に拠点を置き、病院・クリニックのデザイン・ブランディング支援を数多く手がけてきました。ブランディング重視の設計ノウハウを活かし、以下のようなアプローチで医療施設の価値向上をサポートしています。

  • ヒアリングとコンセプトメイク
    施設ごとの経営課題や院長先生の想いを丁寧にヒアリングし、そのエッセンスを空間設計に反映します。
  • 医療施設に特化した設計ノウハウ
    患者さんの動線設計、スタッフの作業効率、法規上の要件などを踏まえたうえで、イメージ戦略を取り入れたデザインを提案します。
  • 継続的なデザイン監修・アフターフォロー
    施設オープン後も、利用者からのフィードバックなどをもとに、運営改善のアドバイスを行います。

医療経営が厳しさを増す時代、空間デザインとブランド戦略の両面からアプローチすることで、地域に愛される病院・クリニックづくりを実現していくことが可能です。もし病院・クリニックのリニューアルや新築、ブランディングに関してお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。私たちKTXアーキラボ一級建築士事務所が、デザインと経営の両面からサポートいたします。

▶️弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2025.3.24.


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


お問い合わせ

建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所

本社:兵庫県姫路市船丘町298-2-2F

東京オフィス:東京都港区南麻布3-4-5-002

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。