モノからコトへ──これからの店舗デザインのあり方とは?体験型店舗設計の時代

 
     
  • 公開日:2025/03/12
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  • 最終更新日:2025/03/12

モノからコトへ──これからの店舗デザインのあり方とは?

こんにちは。店舗デザインを得意とする建築設計事務所 KTXアーキラボ(東京都港区・兵庫県姫路市)です。私たちはブランディングを重視し、「体験型の空間デザイン」を通じて、商品やサービスの持つストーリーや世界観を最大化するお手伝いをしています。

▶弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください


「モノ」を売る時代から「コト」を売る時代へ

近年、「モノ売り」から「コト売り(コト消費)」へとシフトしているといわれます。これは、商品やサービスそのものを売るのではなく、それらによって得られる体験や感動、共感などに価値を見出す考え方です。たとえば、ディズニーランドを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。ディズニーランドがお客様に提供しているのは、単なるアトラクションやグッズではなく、非日常感や夢の世界に浸れる特別な体験です。

コト売り体験型店舗デザイン


コト売りが求められる背景

2019年に内閣府が実施した世論調査によると、「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と回答した方は全体の62%にのぼります。
かつての日本は「モノづくり大国」と呼ばれ、品質の高さや機能性が優れた商品が市場を席巻していました。しかし、バブル崩壊後の経済構造の変化や、海外からの安価な製品の流入によって、誰でもそれなりに快適な生活を送れるようになりました。さらに、SNSの普及などにより「情報」が容易に手に入る時代になったことで、消費者のニーズは多様化し、「モノ」の質だけではなく、そこに付随する「体験」や「ストーリー」に注目する人が増えているのです。

コト売り体験型店舗デザイン

コト売りへの移行がもたらすメリット

コト売りに力を注ぐことで、得られるメリットは多岐にわたります。たとえば、

  1. 競合との差別化が進む
    単に商品やサービスを安く提供するのではなく、体験やストーリーを提供することで、ほかにはない“特別感”が生まれます。
  2. 価格を下げる必要がなくなる
    価格勝負だけではない価値が伝わるため、「安さ」ではなく「体験」や「ブランド性」で選ばれるようになります。
  3. SNSなどで拡散されやすくなる
    面白い体験や共感を得られるエピソードは、ユーザー自らがSNSでシェアしてくれます。
  4. 広告をかける以上に話題になる
    口コミやバズによって、広告費以上の効果が期待できます。
  5. 商品としての価値が高くなる
    「これはただのモノではなく、あの感動を与えてくれるモノ」と認識され、ブランド力が上昇します。
  6. プロダクトサイクルが長くなる
    新商品が次々出ても、「あのブランドを応援したい」「また体験したい」という気持ちが生まれ、消費者との関係性が長く続きます。
  7. 利益率の高いビジネスモデルになる
    ファンやリピーターが増えることで、利益効率の良い体制が築けます。
  8. コト売り体験型店舗デザイン

ブランド力の強化と差別化

コト売りへ移行する際には、ブランド力の強化が欠かせません。ブランドと聞くと高級ブランドをイメージして、「自社の商品とは縁遠い」と思われる方もいるかもしれません。しかし、どんな商品やサービスでも、その独自の価値をしっかりと打ち出すことでブランド力を高めることは可能です。

たとえば、「環境にやさしい」といったテーマは多くの商品で謳われていますが、具体的なデータや裏付け、開発者の思いなどをきちんと「見える化」しているケースは意外に少ないものです。「環境保護のためにどのような努力や苦労をしているのか」を発信することで共感者が増え、商品や企業のファンになってくれる人が現れます。そして、その「思い」と「手間」が伝わると、たとえ価格が多少高くても納得して購入する層が生まれるのです。

コト売り体験型店舗デザイン


ストーリーの「見える化」で顧客をファンに

ストーリーを伝えることは、コト売りにおいて大変重要なポイントです。商品やサービスを通じて生まれた開発者の想い、苦労、歴史などをしっかりと「見える化」することで、顧客は単なる利用者ではなく、応援者やファンとなります。
無機質に大量生産されたモノよりも、そこに込められた「物語」に共感できるモノの方に、人は心を動かされます。この“ストーリー”をいかに空間デザインで演出するかが、競合との差別化に直結していきます。

コト売り体験型店舗デザイン


非日常感がもたらす「体験」の力

「体験」をより強力にするうえで欠かせないのが、「没入感」と「非日常感」です。ディズニーランドで多くの人が強烈な体験を得られるのは、パーク全体が徹底して“日常から切り離された世界観”を作り上げているからです。

店舗や施設に求められる空間デザインも同様です。訪れた瞬間に、普段とは違う世界に入り込んだような気分にさせる演出を行うことで、記憶に残る忘れられない体験を提供できます。それが結果的にリピーターの獲得SNSでの拡散につながり、強固なブランドとして存在感を示す要因となるのです。

コト売り体験型店舗デザイン


KTXアーキラボの空間デザインによるブランディング

私たちKTXアーキラボは、東京都港区と兵庫県姫路市に拠点を置く建築設計事務所として、ブランド価値を高めるための空間デザインを得意としています。単におしゃれな内装を作るだけではなく、商品やサービスの背景にあるストーリーや企業理念を空間の中でどのように体現し、訪れる人にどのような「体験」を提供するかを重視しています。

  • ストーリーの可視化
    商品や開発者の物語を空間のデザインで表現し、“世界観”を体験できる店舗を実現します。
  • 没入感の演出
    照明、音響、レイアウトなどを駆使し、日常から切り離された特別な空間を演出します。
  • ブランディングの一貫性
    店舗設計からグラフィックデザイン、サイン計画までをトータルで考え、ブランドイメージを徹底して統一します。

こうしたアプローチにより、店舗を訪れたお客様は単に「モノ」を購入するだけでなく、その場所特有の世界観や物語に惹かれ、深い共感を覚えるようになります。その結果、“企業やブランドそのもの”のファンとなり、商品価値やリピーター率の向上をもたらすのです。

コト売り体験型店舗デザイン


まとめ

コト売りが求められる時代において、店舗デザインは「商品を魅力的に並べる」だけではなく、体験価値を最大化するための空間作りへと進化しています。非日常感やストーリーを含んだ没入型のデザインは、訪れる人々の記憶に残り、ファンやリピーターを生み出す大きな要素です。

KTXアーキラボでは、ブランディングを意識した空間づくりを通じて、企業や商品の本質的な魅力を引き出し、その思いを“体験”として届けるお手伝いをいたします。
体験型の空間デザインにご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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2025.3.12.


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


【お問い合わせ先】

  • KTXアーキラボ一級建築士事務所
    • 東京都港区南麻布3-4-5 エスセナーリオ南麻布002
    • 兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F
  • 事業内容
    • 飲食店・クリニック・物販店・美容院などの店舗デザイン・設計
    • 建築・内装工事施工
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