病院経営危機の時代に求められる差別化とブランディングの重要性

 
     
  • 公開日:2025/02/28
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  • 最終更新日:2025/03/03

病院経営危機の時代に求められる差別化とブランディングの重要性

こんにちは。KTXアーキラボ一級建築士事務所です。私たちは、東京都港区と兵庫県姫路市を拠点に、クリニックや病院をはじめとした医療施設の設計・デザインを手掛けています。近年、医療機関を取り巻く経営環境が大きく変化していることは、多くの方がご存じのとおりです。今回は、2023年度の病院経営に関する調査結果を踏まえ、今後どのような工夫や戦略が求められるかをご紹介します。

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病院の経営危機が深刻化:補助金打ち切りの影響

先日公表された独立行政法人「福祉医療機構」の調査結果(朝日新聞報道)によると、2023年度は一般病院の半数以上が赤字に陥り、医業利益率も過去最低のマイナス2.3%となりました。コロナ禍でマイナスに転じた医業利益率は、補助金の打ち切りに伴いさらに悪化。経常収支を補っていた補助金が消滅したことで、多くの医療機関が厳しい経営に直面しています。

主な要因

  • 人件費や物価の上昇:医療スタッフの確保や材料費の高騰に対して診療報酬は十分に上がらず、負担が増大。
  • 診療報酬改定の不十分さ:2024年度改定でプラス0.88%が示されたものの、物価上昇を補うには大きく不足。
  • コロナ補助金の打ち切り:コロナ禍の負担を補填していた補助金が打ち切られ、赤字拡大に拍車。

こうした状況を背景に、日本病院会・全日本病院協会など複数の団体が厚生労働省に緊急的な財政支援を要望しているとのことです。しかし、外部支援だけに期待するだけでなく、各病院・クリニックが自らを“選ばれる医療機関”として確立し、生き残りを図ることが求められています。


選ばれる医療機関になるために:差別化とブランディング

医療サービスそのものは公定価格である診療報酬に左右されるため、料金での差別化は難しいのが現状です。しかし、患者さんが病院・クリニックを選ぶ理由は「医師や看護師の質」「医療設備の先進性」だけではありません。建築デザインや内装、接遇、空間の使いやすさ・快適さなどの“体験価値”も大きなウェイトを占めます。
ここで重要になってくるのが、ブランディング差別化です。

差別化のポイント

  1. 空間デザインの質

    • 患者さんが“また来たい”“ここなら安心できる”と思える快適な空間づくり。
    • スタッフの動線を考慮した効率的なレイアウトによる業務のスムーズ化。
  2. 明確なコンセプト

    • 地域に根付いた医療を展開したいのか、高度医療に特化したいのか、コンセプトを明確化。
    • 患者層や地域性に合わせたインテリアやサイン計画、カラーリングなどで独自性を演出。
  3. 患者体験の向上

    • 待合室でのストレス軽減のための工夫(照明・動線・ソファ配置など)。
    • 患者さんや付添い人が手続きをスムーズに行えるような受付・案内表示の整備。
  4. オンライン・デジタルの活用

    • 病院のウェブサイトやSNS運用を活用し、病院の雰囲気や強みをアピール。
    • 予約システムやオンライン診療など、デジタルツールを通じた利便性向上。

KTXアーキラボの取り組み

当事務所では、医療機関の“ブランディングを前提とした建築・空間デザイン”を強みとしています。院内のレイアウトやインテリアはもちろん、ロゴやサイン(案内板)などのビジュアルをトータルで設計し、**「この病院ならでは」**という一貫したブランドイメージを構築いたします。

1. 地域性と調和した病院・クリニックデザイン

  • 東京都港区と兵庫県姫路市という都心と地方に拠点を構え、様々な地域の患者層や医療ニーズに合わせたデザイン提案を行っています。
  • 地域医療の拠点となる施設は、患者さんとの距離感や動線計画をより意識することで、診療の効率と満足度を両立させます。

2. 機能性とデザイン性を両立

  • 医療現場は常に業務の効率化が求められます。一方で、患者さんが安心して治療を受けられる雰囲気づくりも重要です。
  • 私たちKTXアーキラボでは、スタッフと患者さん双方に配慮した動線計画、清潔感と温かみを両立させる配色・照明計画など、機能性と快適性の両面を追求します。

3. “また来たい”と思わせるブランディング

  • 病院というと「治療のために仕方なく行く場所」と思われがちですが、差別化の余地は大いにあります。
  • 「ホスピタルホスピタリティ」の考え方を取り入れ、患者さんとご家族が安心して通い続けられる心地よい空間をつくることが、ブランディングのカギです。

まとめ:経営が厳しい時だからこそ、デザインで差をつける

病院・クリニック経営を取り巻く環境は厳しく、赤字や閉院のリスクも高まっています。しかし、こうした危機的状況だからこそ、他の医療機関との差別化やブランディングによって「選ばれる病院・クリニック」になるチャンスでもあります。

KTXアーキラボ一級建築士事務所では、単なる建築設計にとどまらず、医療機関の持続可能な経営を見据えたトータルデザインやブランディングをご提案しています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

2025.2.28.


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


お問い合わせ

建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所

本社:兵庫県姫路市船丘町298-2-2F

東京オフィス:東京都港区南麻布3-4-5-002

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