マンション高騰の行方とこれからの住宅選び:2030年を見据えた最新動向

 
     
  • 公開日:2025/02/11
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  • 最終更新日:2025/02/11

マンション高騰の行方とこれからの住宅選び:2030年を見据えた最新動向

こんにちは。東京・港区と兵庫・姫路市に拠点を置く、KTXアーキラボ一級建築士事務所です。近年のマンション価格の高騰や、戸建て市場の変化を肌で感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。今回は、昨今の不動産市況を踏まえ、2030年までにマンション高騰が終わるといわれる理由や、郊外戸建て・中古マンション市場の動向などについて考察してみたいと思います。


1.マンション価格高騰は2030年までに終わる?

2022年から2023年にかけて、マンション価格の異常な上昇が話題になっています。特に首都圏では資材価格の高騰と投資マネーの集中によって、今までにない価格帯の新築マンションが次々と誕生しています。

しかし、一部の専門家の間では「この高騰も2030年頃まで」という見方があります。その理由の一つが、外国投資家による投資マネーの流入がいつまでも続くわけではないという点です。もしも政策金利が上昇し、円高に振れれば、外国投資家にとっての日本のマンション投資の妙味は薄れ、投資資金が一気に流出する可能性があります。そうなれば、これまで押し上げられていたマンション価格も落ち着き始めると考えられています。


2.郊外戸建てが売れない理由

近年、都心から離れた郊外の戸建て住宅は「もう売れなくなっている」とまで言われるようになりました。背景には以下のような要因が挙げられます。

  1. 若年層のライフスタイル変化
    テレワークや職住近接志向の高まりによって、都心アクセスを重視する傾向が強くなっています。通勤が毎日ではなくなっても、都心の利便性や娯楽・サービスを享受できる立地を求める人が増えています。

  2. ペアローンの破綻リスク
    共働き世帯が当たり前となり、収入合算で高額な物件を購入する“ペアローン”が普及しました。しかし、将来的にどちらかの収入が途絶えた場合や離職した場合、ローン返済が厳しくなり、破綻するケースが増加傾向にあります。特に高額物件を購入した場合、売却してもローン残債をカバーできない可能性があるため、リスクが高まっています。


3.郊外のマンションにも影響?

マンション市況の過熱は都市中心部だけでなく、郊外の物件にも影響を及ぼしています。しかし、このところ郊外の中古マンションや新築マンションの売れ行きが鈍化しているとの声も耳にします。価格上昇が続くなかで、立地的な利便性がそこまで高くない郊外物件に“割高感”を抱く購入希望者が増えていることが原因の一つです。

また、地方主要4都市(札幌・仙台・広島・福岡)などでも地価が高騰し、コンパクトシティ化の流れで中心部のマンションニーズが加熱。結果として周辺エリアの物件も値上がりし、二極化がさらに進んでいるのが現状です。


4.新築:中古=35:65 へ移行する首都圏マンションマーケット

首都圏では新築マンションよりも中古マンションの流通が増えてきており、新築:中古=35:65という比率になりつつあります。昨今の新築価格が高騰していることから、中古マンション市場が拡大しているのが大きな要因です。

中古マンションが増える背景としては、以下のような要素が考えられます。

  1. 建築費の急騰
    ここ3〜4年で建築費が3割ほど上昇したことで、新築マンションの販売価格も大幅に引き上げられています。結果、高価格帯を敬遠する層が中古市場へ流れています。
  2. タワーマンションの“金融商品化”
    外国投資マネーがタワーマンションに集中し、新築価格をさらに上げています。一部のタワーマンションは投資商品としての側面が強くなっており、本来の「居住用物件」とはやや異質な価格帯になっています。

5.2030年以降の住宅価格はどう変わる?

投資マネーが離れたあと、そして2030年以降には23区内の戸建て住宅がかなり安くなるという指摘もあります。これは、投資家需要や資材価格高騰のピークアウトなどが背景として考えられています。郊外戸建ての値動きとは違い、都心立地の戸建ては需要が根強いのですが、それでも今のような過剰な上昇が続くことは難しいという見方です。

マンション価格も、外国投資家の動向次第では大きく値崩れを起こすリスクがあります。もし円高が進み、投資妙味を感じにくくなった場合、突然の売りが増える可能性があるため、不動産投資のリスク管理がますます重要になります。


6.KTXアーキラボが考える今後の住まい探しポイント

私たちKTXアーキラボ一級建築士事務所では、以下のような観点から「これからの住まい探し」を考えることをおすすめしています。

  1. 長期的視点での資産性・将来性
    住宅は生活の基盤であると同時に大きな資産でもあります。2030年以降の価格動向も見据えて、需要が底堅いエリア将来にわたって利便性が維持される立地を選ぶことが重要です。

  2. 柔軟なローン計画
    ペアローンを利用する場合は、将来の家族構成や仕事環境の変化を十分に見込み、余裕をもった返済計画を立てる必要があります。変動金利だけに頼らず、固定金利やミックスローンなど、金利上昇リスクに備えた設計が欠かせません。

  3. 中古・リノベーションの検討
    新築マンション価格が高騰している今、中古マンションを購入してリノベーションするという選択肢も有効です。当事務所でも、豊富なリノベーション実績を活かし、快適で魅力的な空間づくりをお手伝いしております。

  4. 地価動向の把握
    地方主要都市や郊外など、エリアによって動きはさまざまです。居住目的であれば必ずしも人気エリアを追い求める必要はありませんが、資産価値の下落リスクを知ったうえで、将来の売却や住み替えにも柔軟に対応できるようにしましょう。


7.まとめ

2022年から2023年にかけての新築マンション価格の高騰は、資材価格の上昇だけでなく外国投資家の動向が大きく影響していると言えます。とはいえ、政策金利や円高・円安の変動によっては、現在の“マンションバブル”がいつ崩れるかは予測が難しい面もあります。郊外戸建ての停滞や中古マンション比率の増加など、不動産市場はまさに転換期を迎えつつあるのかもしれません。

私たちKTXアーキラボ一級建築士事務所は、東京と兵庫を拠点とした設計・デザインのプロフェッショナルとして、住宅やオフィスの新築・リノベーションまで幅広くサポートしております。住宅購入を検討されている方にとっては、こうした市況変化を正しく理解し、将来を見据えた選択をすることが大切です。住宅のプランニングやデザインに関するご相談・ご質問がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

今後も不動産市況の動きや建築費の動向については、こちらのブログを通じて情報を発信してまいります。皆さまの暮らしやすく豊かな住まいづくりに少しでもお役立ちできれば幸いです。

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2025.2.11


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


お問い合わせ

建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所

本社:兵庫県姫路市船丘町299-2-2F

東京オフィス:港区南麻布3-4-5-002

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