タワーマンション“空き部屋”課税検討の背景と、持続可能な街づくりへの視点

 
     
  • 公開日:2025/01/15
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  • 最終更新日:2025/01/15

【タワーマンション“空き部屋”課税検討の背景と、持続可能な街づくりへの視点】
こんにちは。東京都港区と兵庫県姫路市に拠点を置くKTXアーキラボ一級建築士事務所です。当ブログでは、最新の建築・都市計画のトピックスを取り上げ、私たちの視点から課題や解決策を考察していきます。今回は、神戸市が全国で初めて検討を始めた「タワーマンションの空き部屋に対する課税(いわゆる“空室税”)」のニュースを踏まえ、都市開発・マンション管理・不動産価値の維持といったポイントについて解説いたします。


1.神戸市で検討される「タワーマンション空き部屋課税」とは

神戸市は、中心部に立ち並ぶタワーマンションの空き部屋が増えている現状を問題視し、所有者へ税を課す制度を検討しています。背景には、「投資目的の購入」により居住実態のない区画が増加し、街づくりやマンション管理に支障をきたす恐れがあるという懸念があります。

  • “投資目的”の購入が増えると、住民としての責任意識が希薄化しやすい
  • 空き部屋が増えれば、将来的なマンションの“廃虚化”リスクも懸念
  • 周辺小中学校や公共施設の整備計画に悪影響を及ぼす可能性

すでに神戸市では、2020年から市中心部でのタワーマンション建設規制を実施しており、今回はさらに踏み込んで“空室税”を導入することで、投資目的の購入を抑制し、実際に住む人が適正な価格で購入できる環境整備を目指すとしています。


2.「晴海フラッグ」のような街にしない――神戸市の狙い

ニュース内では、神戸市の久元市長が「東京の臨海部にある晴海フラッグのようにはしたくない」と強く訴えています。晴海フラッグでは、街開き後に夜間の電気点灯率が低く、法人名義や投資家による大量購入が目立つことが報じられました。実際、神戸市内でも高層階ほど空き部屋率が高くなっているデータが示されており、神戸市は同じような現象が拡大することを防ぎたい考えです。


3.課税による影響と課題

一方で、SNSを中心に「空室税を取れば家賃の値下げ競争が進み、不動産価値が下がる」「固定資産税との二重課税ではないか」といった批判や懸念の声も少なくありません。さらに、国の総務省の認可や議会の承認といった法的手続きのハードルも多く、今後の進展は不透明な部分もあります。

しかし、「宿泊税」が初めて導入された自治体の例を引き合いに出す声もあるように、もし神戸市で“空室税”が実施されれば、類似の制度が他都市へと波及する可能性は高いと考えられます。タワーマンション問題は都市部共通の課題として今後も注目度が上がるでしょう。


4.マンション管理と街づくりの観点――KTXアーキラボが考える持続可能性

弊所KTXアーキラボ一級建築士事務所では、マンションや集合住宅の建築設計だけでなく、コミュニティ形成管理運営のしやすさなど、建物が完成した後のライフサイクルに目を向けた設計・提案を行っています。以下のような視点が、タワーマンションの長期的な資産価値や魅力を高める鍵になると考えています。

  1. コミュニティスペースの設計
    共有ラウンジやワークスペース、キッズルームなど、住民同士のコミュニケーションが生まれる場の設置は、所有者の帰属意識やマンション全体の価値向上にも寄与します。
  2. 管理組合や理事会との連携サポート
    空き部屋が多いほど、管理組合の運営や修繕計画が進みにくくなることがあります。弊所では建築設計の段階から、将来の修繕・運営がスムーズに行えるようなプランニングを重視しています。
  3. 地域とのつながりを促すデザイン
    タワーマンションが街中で“孤立”しないよう、地域住民と交流できる動線やイベントスペースを計画に取り込むことで、街全体の活性化を図ることができます。
  4. 投資と居住のバランス
    投資としての魅力もありつつ、実際に住む方が安心して暮らせる居住環境をどう確保するか――この両立を図るためには、設計者・開発者・行政・住民の四者が協働し、長期的な視点で建物の運営を考えていくことが重要です。

5.まとめ:持続可能な住環境を目指して

「タワーマンションの空き部屋課税」検討のニュースは、都市部の高層住宅が抱える課題を改めて浮き彫りにしました。投資目的の大量購入や空き部屋の増加はマンション管理、街のコミュニティ形成、不動産価値の維持など、多岐にわたる影響を及ぼします。今後、神戸市で導入が本格化すれば、全国各地の自治体が追随する可能性も十分に考えられます。

KTXアーキラボ一級建築士事務所では、建築デザイン・都市計画・内装リノベーションなど、幅広い知見を活かして、持続可能な街づくりと豊かな暮らしを両立するためのご提案を行っています。タワーマンションの新築・改修はもちろん、空き部屋のリノベーション計画やマンション管理に関するご相談など、ぜひお気軽にご連絡ください。

▶️弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2025.1.15


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


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建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所

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東京オフィス:港区南麻布3-4-5-002

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