- 公開日:2025/01/06
- 最終更新日:2025/01/06
マイナ保険証導入により歯科クリニックの倒産・廃業件数が過去最高に:その背景と今後の対策とは?
こんにちは。東京都港区と兵庫県姫路市にオフィスを構える、クリニックデザイン事務所 KTXアーキラボ一級建築士事務所 です。
近年、倒産や廃業に追い込まれる歯科医院の件数が増加しているのをご存知でしょうか。今回は、歯科医療業界が抱える課題やその背景、そして今後の対策について解説します。
1. 歯科医院が倒産・廃業に陥る背景
1-1. 資金繰りが厳しい業種構造
歯科医院は医療機器や設備への投資が非常に大きく、ローンやリースの支払い負担が大きい業種です。開業後も経営が安定するまでには時間がかかり、キャッシュフローが悪化するリスクが高いといわれています。
1-2. 歯科医の高齢化による引退
日本全国的に医師・歯科医の高齢化が進んでおり、後継者が見つからない場合には引退と同時に廃業するケースが増えています。
1-3. 歯磨き習慣の徹底で虫歯患者が減少
近年、子どもの虫歯が激減しています。学校や家庭での歯磨き指導の徹底により、小児歯科患者の来院数が減っています。患者数が減ることは、歯科医院の経営に大きな打撃となります。
1-4. マイナ保険証導入による設備投資の負担
保険証の電子化(マイナ保険証)に伴い、オンライン資格確認システムや通信環境の整備が必須となりました。しかし、特に高齢の歯科医師にとっては、新たなIT機器やシステムの導入コストと学習コストが大きく、導入を断念するケースも。こうした投資が経営を圧迫し、結果的に廃業を選択する歯科医院も少なくありません。
2. 歯科医院の競争が激化している理由
2-1. 歯科医院の増加
厚生労働省のデータによると、歯科医院の総数はコンビニエンスストアの数を上回るともいわれています。地域によっては過当競争が進み、患者の取り合いが起こっています。
2-2. 技術の進歩への適応
デジタル技術やAIを活用した治療機器の登場により、高度な治療が可能になりました。しかし、それに対応するためには歯科医の学習・スキルアップ、さらには設備投資が欠かせません。技術の進歩に追いつけない歯科医院は、患者に選ばれにくくなっていきます。
2-3. 設備やデザインの新しさが求められる
患者さんが歯科医院を選ぶ際、治療技術はもちろんですが、「清潔感」「リラックスできる空間」「最新の設備」といったイメージも重視されます。古いベテラン歯科医の医院よりも、新しい設備と若い歯科医師がいる医院の方が選ばれる傾向は強く、歯科医院のイメージ戦略(ブランディング・空間デザイン)が経営を左右 します。
3. まずはネット検索から始まる歯科医院探し
スマートフォンやパソコンで検索して、自宅や職場の近くの歯科医院を探す人がほとんどです。そのため、ホームページやSNSでの情報発信、WEBサイトのデザインやユーザビリティ は、患者さんとの最初の接点であり、来院率に直結します。
- SEO対策 による検索エンジン上位表示
- モバイルフレンドリー なWEBサイト設計
- 口コミサイト の評価や口コミ対策
これらを怠れば、どんなに最新設備を備えた医院でも、患者さんに見つけてもらえない可能性が高まります。
4. 歯科クリニックも「ビジネス」であるという意識
「医療は公共性が高いから」と、経営の合理化やブランディング戦略を後回しにしていませんか? 歯科クリニックもビジネスとして成り立たせるためには、マーケティング戦略 や 差別化戦略 が欠かせません。
- 最新の治療設備を導入する
- スタッフの接遇教育を充実させる
- 内装・空間デザインにこだわる
- ホームページやSNSによる情報発信を強化する
これらの取り組みが総合的に評価されることで、競合歯科医院との差別化が図れます。
5. KTXアーキラボが考える「歯科クリニックの空間デザイン」の重要性
歯科医院を含む医療施設の空間デザインは、単なる内装工事とは異なり、以下の点を総合的に考慮する必要があります。
- 患者の不安を和らげる空間づくり
病院やクリニックに対して多くの患者さんが感じる「怖い」「痛い」といったイメージを軽減し、リラックスできる雰囲気を演出することが重要です。 - 衛生的で快適な動線設計
スタッフと患者さんの動線を分けることで感染リスクを低減したり、器具の洗浄や滅菌をスムーズに行えたりするレイアウトが求められます。クリーンかつ効率的な動線設計は、患者満足度だけでなくスタッフの働きやすさにも直結します。 - 最新設備を活かすデザイン
デジタルレントゲンやCTスキャンなど、最新機器の設置にはスペースや電源配置など細やかな調整が必要です。空間デザインの段階から導入を考慮することで、使いやすさと見た目の良さを両立できます。 - ブランディングを意識した統一感
ロゴやカラー、医院コンセプトなど、歯科医院全体のブランディングを空間へ落とし込むことで、患者さんが一目で「この歯科医院らしさ」を感じることができます。内装・インテリアだけでなく、WEBサイト、パンフレット、看板などのツールも統一感を持たせると効果的です。
6. まとめ:今こそ差別化とブランディングが重要
マイナ保険証の導入による設備投資負担や高齢化、虫歯患者数の減少など、歯科医療業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。こうした状況下で倒産や廃業が過去最高となっているのも、もはや珍しいことではありません。
しかし、同時に「歯科クリニックもビジネスである」という認識が浸透し始め、積極的に経営戦略を見直す動きも出てきています。特に、空間デザインやブランディングによって患者さんに選ばれる医院づくりを行う ことは、これからの時代に不可欠な要素となるでしょう。
KTXアーキラボ一級建築士事務所 では、クリニックの空間デザインだけでなく、コンセプトメイキングからブランディング戦略、WEBデザインに至るまでトータルでサポートしています。もし医院のリニューアルや新規開業をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
歯科クリニックの経営環境が厳しくなる今だからこそ、空間デザイン・ブランディングを味方につけ、患者さんにもスタッフにも選ばれる医院づくりを目指してみませんか?私たち KTXアーキラボ一級建築士事務所が、あなたのクリニックの新しい未来をサポートいたします。
2025.1.6
【この記事を書いた人 松本 哲哉】
KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師
2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)
お問い合わせ
建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所
本社:兵庫県姫路市船丘町298-2-2F
東京オフィス:東京都港区南麻布3-4-5-002
- メール: kentixx@ktx.space
- 電話番号: 03-4400-4529(代表)
- ウェブサイト: https://ktx.space/
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