病院設計とサイバー攻撃〜傾向と対策|KTXアーキラボ一級建築士事務所

 
     
  • 公開日:2024/12/28
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  • 最終更新日:2024/12/28

病院設計とサイバー攻撃〜傾向と対策|KTXアーキラボ一級建築士事務所

近年、医療機関に対するサイバー攻撃が増加し、病院やクリニックにおける情報漏えい・システム障害が深刻な問題となっています。病院設計においては、耐震・動線・機能性などの物理的な安全性や効率性だけでなく、サイバーセキュリティを考慮した設計・運用が求められる時代です。本記事では、東京・港区と兵庫県姫路市にオフィスを構えるKTXアーキラボ一級建築士事務所が考える「病院設計とサイバー攻撃の傾向と対策」について解説します。

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1. 医療機関を狙うサイバー攻撃の背景と傾向

1-1. 個人情報・機密情報の流出リスク

医療機関では、患者のカルテ・診断情報・保険情報など、機密性の高いデータを扱います。これらのデータは攻撃者にとって非常に価値が高く、ランサムウェア攻撃や不正アクセスにより、情報が流出・売買される事例が世界各地で報告されています。

1-2. 医療機器への影響

院内の医療機器はネットワークに接続され、患者のバイタル情報や各種検査データを取得・管理しています。サイバー攻撃によるデバイス停止や故障は、患者の生命に直接かかわる恐れがあるため、対策の緊急性が増しています。

1-3. 業務運用への混乱

電子カルテや予約システムがダウンすると、診療・手術スケジュール、患者対応などの通常業務に大きな混乱が生じます。医療事故につながるリスクも高まるため、**BCP(事業継続計画)**を視野に入れた取り組みが重要です。


2. 病院設計におけるサイバーセキュリティの考慮

2-1. ネットワークの分離・ゾーニング

病院では、外部ネットワークと内部ネットワークを厳密に分離し、万が一一部のシステムが攻撃を受けた場合でも、重要な医療機器やカルテ情報への侵入を最小限に抑える必要があります。設計段階でネットワークごとの配線計画や、サーバルーム・機器室の配置を最適化することが大切です。

2-2. アクセス制御と監視システム

院内の職員や関係者が利用するPC・タブレット・スマートフォンなど、端末管理やアクセス制御を行う仕組みを整備する必要があります。また、監視カメラ・入退室管理システムとの連携により、物理的なセキュリティとデジタルセキュリティを融合した包括的な防御体制を構築します。

2-3. 非常用電源・バックアップ対策

システム障害や停電時にも、電子カルテや医療機器が機能を維持できるよう、**UPS(無停電電源装置)**や非常用電源の確保を設計段階で計画します。データバックアップはオンサイトとオフサイトを組み合わせ、多層的に運用することが望ましいでしょう。


3. サイバー攻撃対策の具体的ポイント

3-1. セキュリティソフトウェア・ファイアウォールの導入・更新

ウイルス対策ソフトやファイアウォールを常に最新の状態に保ち、脅威に素早く対応できる体制を作ります。定期的なアップデートは、院内システム全体でルール化することが重要です。

3-2. 職員・スタッフ向けセキュリティ教育

医療現場では多数のスタッフがシステムを使用します。メールの添付ファイルやリンクの取り扱い、ソーシャルエンジニアリングへの注意など、基本的なセキュリティリテラシーの徹底が不可欠です。

3-3. インシデント発生時の対応手順(BCP策定)

万が一、サイバー攻撃を受けた場合の対応手順を明文化し、スタッフへの周知・訓練を行います。対応が遅れると被害が拡大しやすいため、迅速な復旧を目指せる体制整備が重要となります。


4. KTXアーキラボ一級建築士事務所が提供するサポート

KTXアーキラボ一級建築士事務所では、東京・港区と兵庫県姫路市のオフィスを拠点に、医療機関・クリニックを中心とした建築設計・空間デザインを行っています。私たちは、時代とともに変化するサイバーセキュリティリスクを踏まえ、以下のようなサポートを提供しています。

  1. 建築計画からのネットワーク設計支援
    サーバルームの位置や配線経路の最適化など、病院設計とサイバーセキュリティを融合したプランニングを実施します。
  2. 物理セキュリティとデジタルセキュリティの統合設計
    入退室管理や監視カメラの最適配置など、院内の物理セキュリティ設計を支援し、システム管理者との連携を強化します。
  3. BCP(事業継続計画)策定へのコンサルティング
    自然災害やサイバー攻撃など非常時を想定した事業継続計画の策定をサポートし、災害やシステム障害時に医療サービスを継続できる体制を整えます。

5. まとめ

医療機関におけるサイバー攻撃のリスクは、患者の命や個人情報の保護という観点で極めて重要な課題です。病院設計は、空間や動線だけでなく、サイバーセキュリティも含めた総合的な安全設計が求められます。
東京・港区と兵庫県姫路市にオフィスを構えるKTXアーキラボ一級建築士事務所では、病院やクリニックの設計ノウハウを活かし、最新のサイバー攻撃の動向を踏まえた安心・安全な施設づくりをお手伝いします。サイバーセキュリティを考慮した**「病院設計の傾向と対策」**について、ぜひお気軽にご相談ください。

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2024.12.28


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


お問い合わせ

建築設計事務所 KTXアーキラボ 一級建築士事務所

本社:兵庫県姫路市

東京オフィス:港区南麻布

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