- 公開日:2024/11/11
- 最終更新日:2024/11/19
クリニック用テナント物件 下見の際の留意点など解説します
はじめに:クリニック内装の工事費を抑えるために
クリニックを新規開業・移転する際、内装工事費用が想定以上にかかってしまうことがあります。
特に医療機関は特有の設備や機能が求められるため、テナント選びが重要です。
今回は、どのような物件が内装工事費用を押し上げる原因になるのか、また物件選びの際に気をつけるべきポイントについて解説します。
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内装工事費が高くなるテナント物件の特徴
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天井が低い物件
クリニックでは天井高が十分でないと、換気・空調の配管工事が複雑化することがあります。医療機器も多く設置されるため、天井高が確保されていないとレイアウトが制限されるだけでなく、空調や配管の設置に工夫が必要で工事費が増加する傾向があります。歯科医院においては、各診察ユニットの床下に配管スペースが必要になり、床上げが必要な場合は、床を上げるぶん相対的に天井が低くなります。また、クリニックの空間デザイン的にも天井の低い空間は不利になります。
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電力容量が少ない物件
医療機器や照明などで電力を多く使用するクリニックでは、既存の電力容量が不足していると追加の配電工事が必要です。特に古いビルでは電力設備が不足しがちで、太い電気幹線を引き込み直すなどアップグレードのための費用が増加します。たいていの場合これはかなり高額な工事となります。事前に医療機器に必要な電気容量を合算し、テナントの許容電力量と照らし合わせる必要があります。
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排水・給水設備が整っていない物件
クリニックでは手洗い場や患者用トイレ、検査室の排水設備などが必要です。排水管や給水管の位置が適切でない場合、配管工事が必要になるため、工事費用がかさみやすいです。特に排水配管は重力によって配管内の水を流すため、テナントの排水位置まで配管に勾配が必要です。例えば歯科ユニットが排水位置まで遠くなると、排水勾配を確保するため何十センチも床を上げなければいけなくなります。給水の容量も事前に確認しておく必要があります。特に歯科医院では各診察ユニットに給水が必要となり、給水量が多くなります。電気同様に給水能力もテナントによって違うので、引き込まれている給水管の太さを確認し、必要な給水量が確保できるか、確認が必須です。足りない場合は大掛かりな工事が必要となるケースも多々あります。
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空調機器の有無
- テナントによっては空調機器は家主の財産として最初から設置されていることもあります。この場合、テナントの空調工事が軽減されますが、間取りやデザインの制限が大きくなることもあります。
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内装の現状
- 原状回復工事が十分になされておらず、前のテナントの造作が残っている場合、契約によっては入居者が解体工事を負担する場合もあります。また天井・壁・床の下地まで復旧されているか、もしくは躯体が露出した状態で引き渡しされるかによっても内装工事費が大きく変わります。
物件下見の際の留意点
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配管・分電盤の確認
給排水配管や分電盤の位置や状態は、改装費に大きく影響を与えます。テナントの内部をチェックし、現状のまま利用可能か、あるいは大幅な工事が必要かを判断しましょう。
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ビル全体の防音性能
ビル自体が防音性能に優れているか確認することも大切です。特に繁華街など周辺環境が騒がしい場合は、防音工事が必要になるかどうかを見極めることが求められます。
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隣接するテナントの業種
隣のテナントが飲食店などの場合、クリニックにとっての衛生面や騒音などが問題になることがあります。隣接するテナントの業種も確認し、適切な場所かを見極めましょう。
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アクセスの良さ
クリニックに限らずあらゆる店舗ビジネスに言えることですが、患者様が訪れやすい場所であることが重要です。交通の便や駐車場の有無、バリアフリー対応かどうかなども確認し、患者様が来院しやすい環境かどうかを考慮しましょう。
まとめ
クリニック内装の工事費を抑えるためには、物件選びが最も重要です。天井高や電力容量、排水設備、防音性など、医療機関ならではの要件を満たすかどうかをしっかりとチェックすることで、無駄な工事費用を抑えられる可能性があります。物件の下見段階でしっかりと確認し、理想のクリニック作りを進めていきましょう。電気や水道など設備面の判断には専門的な知識が必要です。契約前に必ず専門家に見てもらうことが重要です。
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【この記事を書いた人 松本 哲哉】
KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)
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