- 公開日:2024/11/07
- 最終更新日:2024/11/07
アトリエ系設計事務所の経営が難しい理由
こんにちは、KTXアーキラボです。私たちは東京と兵庫県姫路市にオフィスを構える建築設計事務所です。今回は、「アトリエ系設計事務所の経営が難しい理由」について考えてみたいと思います。
アトリエ系設計事務所とは
アトリエ系設計事務所とは、少人数で運営され、デザイン性や独創性を重視する設計事務所を指します。
経営が難しい理由
1. 一つのプロジェクトにかける時間の膨大さ
KTXアーキラボの場合、一つのプロジェクトにかける時間が膨大になるため、限られた数の案件しか受けることができないことが、経営を難しくしている最大の理由です。
通常の設計であれば、既製品の組み合わせで設計を進めることが可能です。各部のパーツごとにメーカーが用意した図面をコピーし、組み合わせていけば、設計に手間はかかりません。しかし、既製品では表現できないオリジナルの設計を行う場合、各パーツの図面をすべて一から描く必要があり、作図にかかる時間が何十倍にも増加します。
また、安全性も既製品ならメーカーが保証していますが、オリジナルで設計する場合は、自ら安全性を確認するため、さまざまな検証や計算が必要になります。例えば、窓枠のサッシを設計する場合、既製品ならアルミサッシメーカーが作成した図面データを設計図にコピーするだけで済みます。しかし、オリジナルのサッシを設計する場合は、サッシの形状をミリ単位で考え、台風などの強風時におけるガラスへの負荷や地震時の変形などを計算し、安全性を確認する必要があります。既製品を使えば一瞬で終わる設計も、オリジナルでは何週間もかかるのです。
このようなプロセスが建築物のあらゆる部分で発生します。それを少人数でこなすため、年間に受けられる案件数は限られてしまい、せっかくご依頼をいただいてもタイミングによってはお引き受けできない場合もあります。このように、収益の効率が悪くなることが経営の難しさにつながっています。
2. 受注の不安定さ
アトリエ系設計事務所は、プロジェクトの規模や数が限られることが多く、受注が不安定になりがちです。大手企業のような安定した案件が少ないため、経営計画を立てにくい側面があります。
3. 人材確保の困難
優秀な人材を確保することはどの業界でも重要ですが、アトリエ系設計事務所では特に難しい課題です。給与や福利厚生で大手企業に劣る場合、優秀な人材が集まりにくい傾向にあります。
4. コスト管理の複雑さ
少人数で多岐にわたる業務をこなすため、一人ひとりの負担が大きくなります。難しい設計をこなせる有能な一級建築士を確保するための人件費も必要となり、効率的なコスト管理が求められますが、それが難しい場合、経営を圧迫します。
まとめ
アトリエ系設計事務所の経営は確かに難しい側面があります。特に、一つのプロジェクトにかける時間が膨大であるため、限られた案件しか受けられないことが大きな課題です。しかし、私たちはその難しさを理解した上で、それでも価値ある建築を創造することを諦めることはできません。これからもクライアントに最高の価値を提供し続けることが我々の使命です。
2024.11.07
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